黒い木版画を中心に制作する美術家・風間サチコさん(52)の個展が、16日から東京都千代田区のギャラリー「CADAN有楽町」で開かれる。風間さんは昨年4月から朝日新聞朝刊オピニオン面で月に1度掲載する「論壇時評」の挿絵を手がけており、これまでの掲載14作品の原画を中心に展示する。8月4日まで。
風間さんは、現代社会の矛盾やひずみを、その起源となる歴史を探りながら、ユーモアある版画で描き出す。黒一色ながらその濃淡と、彫刻刀の描線を駆使した表現力が国内外で評価されている。
東京オリンピックを前に、2018年に発表した作品《ディスリンピック2680》は、優生思想の持つディストピア的な理想国家のイメージを描き出した大作で、ニューヨーク近代美術館に収蔵されている。
論壇時評の挿絵では、今年4月からは「黄道十二宮」を題材に、1年を通した連作を展開している。挿絵から何を想起するかは読者に委ねられており、論壇時評の内容とも連動させてはいない。風間さんは「社会に自分が抱くモヤモヤを版画にして生きているだけで、見る人を『啓蒙(けいもう)』する意図はまったくない。ただ画を見る人が何かを考えるきっかけになるならばうれしい」と話している。
午前11時から平日は午後7時まで、土日祝日は午後5時まで。月曜定休。(女屋泰之)
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