フットボールリーグ2への復帰を決めたレクサムAFCの選手たち(昨年4月) ACTION IMAGESーREUTERS

<大金持ちが買収しても、飽きて放り出したり、よい結果が出なかったり。だがロブ・マケルヘニーとライアン・レイノルズは、サッカー界の「おとぎ話」を創り出した>

英ウェールズの古豪サッカークラブ、レクサムAFCの復活を、誰もが「おとぎ話」と評する。だったらハリウッド俳優のロブ・マケルヘニーとライアン・レイノルズは、おとぎ話の「演出家」だ。

2人は2021年にレクサムを買収しオーナーに就任。低迷していたクラブを22〜23年シーズンに、プロリーグとされるフットボールリーグ2(4部に相当)へ15年ぶりに復帰させ、翌23〜24年にはリーグ1(3部)に昇格させた。


2人はクラブの知名度も信じ難いほどにアップさせた。ホームゲームの観客数は3倍に増え、スタジアムでは米人気コメディアンのウィル・フェレルの姿も目撃された。しかもディズニープラス配信のドキュメンタリー『ようこそレクサムへ』のおかげで、ファンは世界中に広がっている。

【予告編】レクサムAFCの知名度を高めたドキュメンタリー『ようこそレクサムへ』

ウェールズの守護聖人を祝う今年3月1日の聖デービッド・デーには、ウィリアム英皇太子がスタジアムを訪れ、ユニフォームを贈られた。破産寸前となり、1864年からの本拠地であるスタジアムをオーナーが売却しようとした20年前とは大違いだ。

ウィリアム英皇太子のスタジアム訪問の様子 The Prince and Princess of Wales-YouTube

著名人がオーナーになることについて、初めは疑う声も多かった。大金持ちがサッカークラブを買収し、運営に口を出すものの、しばらくすると飽きて放り出す例はたくさんある。熱心なオーナーが多額の投資をしても、うまくいかないこともある。

だが2人のオーナーはクラブの長期的な計画に的確な指示をしただけでなく、賢明で気前のいい投資を行った。試合には頻繁に足を運び、選手や監督、地元コミュニティーとも関係を築いた。ファンと同じくらいクラブを大切にしているように見えるオーナーは、ファンの人気も高い。

レクサムの躍進には限界があるだろう。最高峰のプレミアリーグ入りは、まず無理だ。それでも世界最古のサッカーチームの1つがフットボールリーグに復帰しただけでなく、ウェールズの町レクサムが市民の誇りとなり、再び存在感を示すようになった。

おとぎ話の例えに戻るなら、レクサムは王子様と結婚はできないだろうが、舞踏会に出席するところまでは来た。

【予告編】レクサムAFCの知名度を高めたドキュメンタリー『ようこそレクサムへ』

レクサムAFCが広く国外へも知られるようになったドキュメンタリー『ようこそレクサムへ』

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