本作は、クリストファー・ノーラン監督による伝記映画だ。原爆の父と呼ばれたオッペンハイマーの生涯を描いたものである。
第96回米アカデミー賞で作品賞をはじめ最多7部門を受賞した映画だが、唯一の被爆国である日本にとっては複雑なテーマだ。開発者の苦悩を見せられたところで、自業自得だと感情移入できないかもしれない。私は鑑賞前にそんな思いがあった。
映画が始まり、オッペンハイマーの人生が三つの時系列で映し出された。開発するに至った正義感、科学者としての探究心、それらを全て覆した原爆の惨状。技術が進み、人が手を出すべき領域を超えた時、人間の心は追いつけずに悲劇を招く。道徳的な正しさを問いながら、はっきりと核兵器に対する拒絶をしていた。
真摯(しんし)に作られた映画であることは間違いないだろう。この作品が、日本で公開される意義は十分にあるはずだ。(スターシアターズ・玉城愛鈴)
◇シネマQ、ライカム、ミハマ、サザンで上映中
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