[沖展 2024 75th OKITEN EXHIBITION]

 浦添市のANAアリーナ浦添で開かれている第75回沖展の漆芸部門で、初出品ながら奨励賞を受賞した松崎森平さん(42)=那覇市=は「知人・友人から祝福のメッセージが多く数多く届いた」と喜ぶ。作品「交差点」は黒い漆の魅力が際立ち、沖展会員からも感嘆の声が上がった。松崎さんは「会場に足を運んだ人たちと交流ができた。大切な機会を与えてもらって感謝している」と声を弾ませる。

 作品は松崎さんが「特別に見えた」という安波茶交差点の夜景を、日本古来の研出蒔絵(とぎだしまきえ)という技法で描いた絵画。下絵を描いた後に漆を塗り、金粉などをまいて、さらに炭で研ぎ出す複雑な工程を経て緻密に表現した。

 普段は箱など一般的な漆器を制作しているが、沖展には「漆にもっと目を向けてほしい」との思いを込め、絵画を選んだ。

 歩道橋の質感に興味を持ち、印象に残っている風景を選んだという。「沖縄の人々にとって日常の風景でも、作品を通じて見ることで何か見え方が変わるのか期待している」と話す。

 これまで、日本伝統の技法を用いて作品を制作してきたが、県立芸術大学の講師として採用された3年前に沖縄へ移住し、琉球漆器も学んできた。

 沖縄の漆芸は日本本土と異なり、中国との交流などもあり、風土や歴史、発展した文化圏が違うと感じている。「今後は沖縄で学んだことを生かし、琉球漆芸の作品も制作したい」と意欲を見せた。

(社会部・知念豊)

(写図説明)「漆が持つ黒の魅力を表現したい」と話す松崎森平さん=2日、那覇市・県立芸術大学

(写図説明)松崎森平さんの作品「交差点」 

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