異色のフィメールラッパーから歌謡メタルビジュアル系ユニットまで、これでもかというほど幅広いジャンルの4組が集結したイベント「PROJECT出力太郎」が7月16日、那覇市のOutputで開かれた。毎回違う出演者を呼んで開催するこのイベントには今回、ラッパーのクーロンドラギャレット、マシンライブで電子音楽を鳴らす倍音兄弟、パンクバンドのコウダケンジ&ザ・タイラーズ、ビジュアル系ユニットの有村製薬株式会社が出演。どの角度からも楽しめるラインナップは、沖縄インディーズ音楽の〝多様性〟を象徴するイベントとなった。
トリを務めた有村製薬株式会社=7月16日、那覇市のOutput一口メモ:マシンライブ
パソコンを使わずに電子音楽を奏でるパフォーマンスの在り方。シンセサイザーやサンプラーといったハードウェアに音楽パターンを打ち込んで繰り返し再生しながら、展開や音色の変化を楽しむことが多い。
クーロンドラギャレット
独特の世界観から言葉を叩きつけたクーロンドラギャレット=7月16日、那覇市のOutput蛍光黄緑のフリフリドレスに大きなリボンの「カワイイスタイル」からは想像もできないほどの、インダストリアル系の重厚なビートにシャウト系のラップを重ねていくクーロンドラギャレット。「 年を取るたびに服が派手になっていく」「まさかこんなになるとは思ってなかった」と言いつつ、瓶ビール片手にフロアに下りていくはちゃめちゃ感も彼女の魅力だ。「父親の本名OK鍬田純」名義でDJとしての顔も。
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倍音兄弟
さまざまな機材を駆使してノリを作り出す倍音兄弟=7月16日、那覇市のOutputダンスミュージックバンド「倍音兄弟社」の打ち込みパートを担当するヲサモンタナとリッキーホイの2人による「倍音兄弟」。幾重にも並べた機材群で、幾重にも音を重ねていく。シンセサイザーなどの実機でフレーズを組んでループさせる形式の「マシンライブ」。展開や音色変化の機微を感じていくダンスミュージックはライブハウスでは新鮮な光景だ。「倍音兄弟社のテーマ」の中で「音の総合商社」と歌う彼らは、11月に10周年ライブを控えている。
倍音兄弟 | X
倍音兄弟社 | YouTube
コウダケンジ&ザ・タイラーズ
ストレートなパンクロックを奏でるコウダケンジ&ザ・タイラーズ=7月16日、那覇市のOutput聴くと走り出したくなってくる。そんなストレートなパンクロックは、4人の音が塊でやって来て、大音量のはずなのに、そして歪(ひず)んだギターのはずなのに、どこかずっと優しい。ギターボーカルのコウダケンジと、他の3人のメンバーが「平良さん」の兄弟・いとこの4人組。昨今の暑さを象徴するような夏っぽい曲「アイスクリーム」では「アイスクリーム 溶ける思い出」と、青春時代の夏休みを連想させた。
コウダケンジ&ザ・タイラーズ「夜ふかし」【MV】|YouTube
有村製薬株式会社
ダークな和の世界に引きずり込む有村製薬株式会社=7月16日、那覇市のOutput和のテイストを感じさせる「大正昭和ユニット」の有村製薬株式会社。白塗りの鬼夜叉テイストメイクのボーカル「社長・精矛°(くわしぽこ)」と、映画「犬神家の一族」のスケキヨさながらのフルフェイスマスクが印象的なギターの「会長・硫酸.(りゅうさん)」が奏でるのは、硬派なハードコアから歌謡系メロディアスロックまでさまざまな表情を見せる。代表曲「オメガヘッド」では伸びやかなハイトーンボイスも聴かせ、独特の世界観へ引き込んだ。
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