この40年で若い役者への対応が変わったとは思えないと語るマッカーシー REX/AFLO

<『セント・エルモス・ファイアー』や『プリティ・イン・ピンク』など青春映画で人気を博し、同世代の若手俳優と共に「ブラット・パック」と呼ばれた俳優アンドリュー・マッカーシー。61歳になり、当時と今を語る──(インタビュー)>

1980年代半ばのハリウッドに「ブラット・パック(若造軍団)」と呼ばれる若手の俳優たちがいた。当時の青春映画で人気を博し、共演機会も多かったロブ・ロウやエミリオ・エステベス、デミ・ムーアらを、米ニューヨーク誌がまとめてそう呼んだ。

以来40年、かつてブラット・パックの一員だったアンドリュー・マッカーシーが思い立って、自分たちの若かりし日を振り返るドキュメンタリーを撮った。題して『ブラッツ(若造たち)』(Huluで配信中)。

撮影では昔の仲間たちに再会し、自分たちを「若造」呼ばわりした憎きジャーナリストにも会った。


40年前には、ひとくくりに「若造」と呼ばれることにマッカーシーも反発していた。でも今は、まあ納得している。

「あれから何十年もたつのに、道で私を見かけた人が駆け寄ってきて、言うんだ。『あれまあ、あんた、私の青春の......』って。それで気付いた。みんな、私に話しかけているんじゃない、若き日の自分に語りかけているんだと」

気が付けばマッカーシーも61歳。40年前を顧みて、いま何を思うのかを本誌H・アラン・スコットが聞いた。

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──すごく泣けてくる映画だけど、そこが狙いかな?

ああ、懐かしさで見に来る人がほとんどだろうね。昔はよかった、みたいな気分で。でも私は違う。あの頃から現在までを、すごく個人的に再検証してみたかった。過去を美化して懐かしむのと、本気で評価し直すのは違う。

──「ブラット・パック」誕生の経緯は?

80年代の前半に、ハリウッドは気付いたんだ。若者は同じ映画を5回でも6回でも見るけど、大人は1回きりだってことに。だから大人は相手にせず、若者たちの映画をせっせと作れってことになった。そのタイミングで、私たちは若者代表としてデビューした。それだけのことさ。

で、ジャーナリストのデビッド・ブラムが、あの記事で私たちに、あのレッテルを貼った。ちょうど映画界のカルチャーに激震が起きていた時期だったから、「ブラット・パック」が注目され、やたら話題になったわけだ。

──若い才能に対するメディアの扱いは、この40年で変わったと思う?

思わない。ただし、あの記事が今の時代に出たとしても、あんな影響力は持てないと思うね。私を含め、みんながすぐに自分のSNSで反論するはずだから。それに、今の世の中は価値観も趣味もバラバラだから、当時のような大騒ぎにはならない。

だからといって、人々が何かを学んだとか、今後は若い才能をもっときちんと扱うべきだと反省したとか、そんなふうには思えない。そんな考えは甘すぎるね。

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