■福知山の夏の風物詩「花火大会」が11年ぶりに復活
11年前、爆発事故を機に中止となった、京都府福知山市の花火大会。安全を徹底し、ついに復活しました。
8月11日、京都府福知山市で開かれた花火大会。
およそ2000発の花火が夜空を飾りました。
11年ぶりの福知山市の夏の風物詩です。
90年以上前の1932年に始まり、多い時で10万人ほどが訪れる一大イベントでしたが…。
■11年前、爆発事故が発生、3人が死亡、50人以上が重軽傷
11年前、露店商の男が、ガソリンの入った携行缶の扱いを誤り、爆発事故が発生。
来場者3人が死亡、50人以上が重軽傷を負い、今も治療を続けている被害者がいます。
この事故以降、福知山市では、大規模な花火大会の中止が続いていました。
11年前の花火大会を見ていた、曽根廣樹さん(75)。
【曽根廣樹さん】「突然火花がボーンと上がってここまででてきたら露店が燃えていた」
被害者の手当の優先順位をつけるトリアージも手伝ったという曽根さん。
花火大会に思い入れがありました。
【曽根廣樹さん】「物心ついていた時からずっと、ここから8月15日に花火みていましたから、さみしく思っていました」
■復活を望む市民たちの声を受け、条件付きで再開
事故から10年となった去年。
復活を希望する市民の声を受け、花火大会のあり方を考える検討会が開かれました。
被害者や遺族に、開催の是非を問うヒアリングが行われ、議論が重ねられた結果…。
【福知山市・大橋一夫市長】「6月11日付けで、条件を付して(会場の)使用承認を行った」
安全対策をとるなどの条件付きで、花火大会の開催が承認されました。
ことし、現場近くに移設された、事故を後世に伝える碑。
準備の前に、実行委員会のメンバーらで法要が営まれました。
■プロパンガス禁止、ゲリラ出店対策でパトロール…多くの安全対策を実施
会場では多くの安全対策が。
【記者リポート】「橋の近くにある観覧席から、およそ500メートル離れたこちらの公園に、露店が出店されています」
露店は、事故のあった河川敷ではなく、会場から離れた場所で15店舗に限定。
また、許可のない露店の出店を防ぐため、パトロールも行われました。
さらに、消防の点検が定期的に行われ、事故の原因となったプロパンガスを禁止して、調理方法は炭火とIHの使用に限られました。
【露店の出店者】「基本はガスなんですけど、今日だけ特別に炭で。(事故の)原因が設備関係の事故だったので、それに関してシビアになるのは当たり前だと思うし」
万全な状態で望む会場に、続々と向かう観覧客。
のべ1万2千人が訪れました。
■様々な人の思いを乗せて、夏の風物詩が復活
そして、午後8時。
-花火大会が開催-
【曽根廣樹さん(75)】「とりあえず無事終わってよかった。何とか再開してくれて僕は嬉しく思ってます」
【観覧客】「小学校に観てた時よりも大きく見えて。また見れたらいいなと思います」
【福知山HANABI 実行委員長・奥田友昭さん】「安全にやることを前提にしたかった。それが上手く安全にできたので、スタート。来年、中身を充実させたり、いろんな人がかかわれるような、そんな花火になればいいなと思います」
帰ってきた夏の風物詩。
復活を望んだ人たちの思いを乗せ、大輪の花が咲きました。
■未来への笑顔をはぐくむ花火大会へ
90年以上続く花火大会が、形を変えて11年ぶりに再開ということになりました。
【関西テレビ 加藤さゆり報道デスク】「火災を受けて、消防庁も消防法を改正して、例えば露店の所に消火器を準備するとかですね。そういう細かいところも整備がされてきているんですね。これがどんどん全国にも広がって行かなければいけないので、今は途上かもしれませんけれども、安全に行われて欲しいなと思いますね」
【共同通信社・太田昌克解説委員】「復活へは、大変な道のりだったと思うんですよね。傷ついたご遺族、被害者の気持ちがあるからなんです。ぜひ、教訓をしっかり学んで、二度と繰り返さないように。そして、仏教の世界では、来年やれば13回忌になりますから、ぜひご遺族にも喜んで頂けるような追悼の花火、そして未来への笑顔をはぐくむ花火大会を続けて欲しいと思います」
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