文字を持たないアイヌ民族の口承文芸をローマ字と和訳で「アイヌ神謡集」にまとめた知里幸恵(ちりゆきえ)(1903~22年)を記念したフォーラムが9月に登別市で開かれる。19歳の若さで生涯を終えた幸恵は、昨年が生誕120年にあたり、アイヌ神謡集の刊行100年も記念してフォーラムが開かれ、今年も開催されることになった。

 今年のフォーラムでは、幸恵に語学の才能を見いだし、アイヌ神謡集の編纂(へんさん)を勧めた言語学者・金田一京助の孫にあたる、金田一秀穂・杏林大名誉教授が「幸恵の言葉」と題して講演する。

 登別市出身の幸恵はクリスチャンでもあり、現在の東京大学のキャンパス近くの東京都文京区本郷の金田一京助の自宅に身を寄せながら、原稿の校正を続けて1922年9月18日に神謡集を完成させて亡くなった。2010年から命日に幸恵をしのぶ「シロカニペ祭」が文京区のキリスト教会で開かれており、一昨年には金田一秀穂氏が講演した。

 今回のフォーラムでは、アイヌ語と日本語のバイリンガルとして二つの言語の世界を自在に行き来した幸恵の世界観を考えるという。平取アイヌ文化保存会による歌や踊りのパフォーマンスなどもある。

 9月22日午後1時半から登別市民会館で。定員200人。参加無料だが、NPO法人知里森舎(0143・83・5666)まで事前に申し込みが必要。(松田昌也)

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