岡山県北が初めて舞台となる現代アートの祭典、「森の芸術祭 晴れの国・岡山」の開幕まで8月28日で1カ月です。これを機に県北の魅力を知ってもらおうとそれぞれの自治体がおもてなしの準備に力を入れています。
(奈義町現代美術館 岸本和明館長)
「ついに、そういう時代が来たんだと思った。奈義町現代美術館ができた1994年は、県北で国際芸術祭というのは、まず「1ミリ」も考えの中になかった時代」
会場の1つとなっている。岡山県奈義町。約2500世帯、5700人ほどが暮らしています。県北の5つの市と町に39の作品が展示される森の芸術祭。このうち奈義町では3会場に6作品が展開されます。
この日集まったのは町内の中学生など16人のボランティア。アルゼンチンのアーティスト、レアンドロ・エルリッヒの作品作りに参加しました。レアンドロの作品の特徴は見る人の思い込みを利用して錯覚を起させること。石川県にある金沢21世紀美術館の展示作品「スイミング・プール」では水面のガラスに薄く水をはることで、実際には空のプールに水が入っている錯覚を起こさせます。
今回、町内のゲートボール場に展示する作品は。
(作品の制作会社 小平悦子さん)
「2番目と3番目をさす。で、同じように一番上をむいて、これを差す」
四方を囲むのは自然の木。天井には人工の木を逆さまに吊るします。鏡を敷き詰めた地面に吊り橋を模した通路を設置すると来場者は室内にいながら森の散策気分が楽しめます。
■制作の様子
(地元の中学生ボランティアは…)
「こんな規模ですごいと思った」
「体を使って作品に入れる感じが良いと思った」
(地元のボランティアは…)
「芸術祭を通して、良いチャンスをみんなに生かしてほしい」
町民のなかには芸術祭の舞台に立つ人も。上演するのは江戸時代から町に伝わる伝統芸能、「横仙(よこぜん)歌舞伎」です。
■「墨染鬼(すみぞめおに)」の台本読み合わせの様子
「五織とは妙(ミョウ)なる調べ」
「タエなるね、妙(たえ)なる調べ」
「覚えなおさないといけない」
脚本家立ち合いのもと行われた読み合わせの稽古。実際の横仙歌舞伎にはない現代的な表現にも果敢に挑戦します。
(横仙歌舞伎保存会 川本宏和副会長)
「あら無念 と(普段なら)言います。口、惜しやな。そういうテンポで」
(Q:ところがこの台本だと?)
「チェはたぶん、短く言わないとダメでしょうね。チェ、無念・・となると思う」
(出演する 高森あゆみさん)
「似たようなつなぐ言葉が、どっちだっけ?とか(になる)。あまり体に、頭に浸透しないというのがある」
そして来場者へのおもてなしに欠かせないのがグルメです。
(奈義町産業振興課 有友遥香さん)
「中にはサトイモ、白ネギ、アスパラ、黒豚のひき肉が入っています」
町の職員の女性が考案したのは黒豆や里芋など町の特産品をふんだんに使ったコロッケと肉巻きおにぎり。地元の人が集まって試食会が開かれました。
(奈義町栄養委員会 土井直美委員)
「時間がたつと(おにぎりの)肉の脂が白っぽく固まるのでどうかと思った。味はとても良かった」
1カ月後に収穫を迎える特産の里芋と、新米を売り込もうと妥協しない商品作りが続きます。
(奈義町産業振興課 岡貴樹課長)
「現代美術館とすぱーく奈義(レアンドロの会場)に作品が展示されるので、そこをメインに奈義町の特産品をPRし、今後、ふるさと納税でも応援してもらえたら」
さらに観光案内所では新たな土産物の開発も。芸術祭を機に県北を盛り上げようと気合は十分です。
(奈義町 奥正親町長)
「ウェルカムです、ようこそ、ありがとうという感じ。現代美術館もあり、町も自然とアートで町の特色として売り出したいと思っていた。2年後、3年後に瀬戸芸と並んで「北の森芸」というようになるとありがたい。期待している」
食欲の秋に芸術の秋。県北の魅力を再発見できる森の芸術祭は、9月28日から11月24日まで開かれます。
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