1970年代に官能小説で一時代を築いた作家、宇能鴻一郎(うの・こういちろう、本名鵜野広澄〈うの・ひろずみ〉)さんが8月28日、心不全のため死去した。90歳だった。葬儀は親族のみで営んだ。

 34年、札幌市生まれ。旧満州で終戦を迎えた。東京大学大学院に在学中の61年、同人誌に載せた「光りの飢え」が文芸誌に転載され、芥川賞候補に。次作の「鯨神」で翌62年、芥川賞を受賞した。

 71年から徐々に官能小説に軸足を移し、〈あたし、~なんです〉という女性の一人称で書いた官能小説で人気を博した。夕刊紙を中心に多くの作品を発表し、日活ロマンポルノに原作を提供した。2021年に過去作をまとめた短編集「姫君を喰(く)う話」が刊行されたことで再評価が進み、復刊などが相次いでいた。

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