ドイツを拠点に活躍した世界的な舞踊家のピナ・バウシュさん(1940~2009年)が振り付けを手がけた「春の祭典」が11~15日、東京・丸の内の東京国際フォーラムで上演される。アフリカ13カ国から集まったダンサーら35人が出演し、「ダンスシアター」(舞踊演劇)の手法でダンス界をけん引したバウシュさんの代表作に新風を吹き込む。
「春の祭典」はロシアの作曲家、ストラビンスキーが創作したバレエ音楽で、「大地の神にいけにえをささげる」という古代ロシアの風習をテーマにした作品。同国のバレエ団が1913年にパリで初演し、不協和音が響く音楽と前衛的な振り付けが話題を呼んだ。その後、現代舞踊の分野でも舞台化が試みられるようになった。
バウシュさんが振り付けした「春の祭典」は75年に発表された。舞台には本物の土を敷き詰め、いけにえの象徴である赤いドレスをめぐってダンサーたちが群舞を繰り広げ、ソロのダンスも織り込まれる。日本でも06年に上演された。
今回のアフリカのダンサーたちによる公演は、バウシュさんの作品を保全、継承するピナ・バウシュ財団と、セネガルにあるアフリカの伝統・現代舞踊の教育センター「エコール・デ・サーブル」、英ロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場による国際プロジェクト。同センターを主宰する舞踊家、ジェルメーヌ・アコニーさんとバウシュさんが親交を重ねていたことから企画され、21年9月のスペイン・マドリードを皮切りにデンマークやオーストリア、独、英、米などで上演を重ねている。
来日公演は当初、22年5月の予定だったが、コロナ禍の影響で2年の延期を経て東京での特別上演となった。
ピナ・バウシュ・ブッパタール舞踊団の元メンバーで、プロジェクトのディレクターを務める仏出身のクレマンティーヌ・デリュイさん(46)は「私は15歳の時にリヨンで見たピナの舞台に刺激を受けて舞踊の世界に入った」といい、「ピナは人間が紡いできたストーリーを舞踊で表現し、観客と共有していた。そうしたピナのスピリットを次世代のダンサーたちに伝えていきたい」と話す。
詳細はパルコステージのホームページ参照。【明珍美紀】
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