将棋の西山朋佳女流三冠(29)は10日、東京・将棋会館であった棋士編入試験五番勝負の第1局に臨み、4月にプロになった高橋佑二郎四段(25)相手に勝利した。試験は月に1度、四段の新人棋士5人と戦う。3勝すれば合格で、史上初の女性棋士が誕生する。
第1局では、後手の西山女流三冠が得意の「三間飛車」を採用した。一進一退の押し引きの後、互いの玉が近い端での攻防戦に突入。終盤、西山女流三冠がただで取られるところに角で王手する攻防の妙手を放って優勢に立ち、勝利を引き寄せた。
西山女流三冠は「気が抜けない難しい将棋で、少しずつ苦しさを意識しながらも最後は幸運な面も大きかった」と話し、次局以降について「一局一局準備して、当日全力を尽くせるように過ごしたい」と語った。
対局は持ち時間各3時間で、月に1度行われる。第2局は10月2日で、山川泰熙四段(26)と対戦する。
棋士編入試験はアマチュアと女流棋士が受験できる制度で、棋士公式戦で「10勝以上かつ6割5分以上の成績」などの基準をクリアすれば受験資格を得られる。西山女流三冠は7月4日の朝日杯将棋オープン戦一次予選で阿部光瑠七段(29)に勝ち、直近の成績が13勝7敗(勝率0.650)となり受験資格を満たした。女性の受験は、2022年の福間香奈女流五冠(32)=0勝3敗で不合格=以来2例目。
「棋士」と「女流棋士」はともにプロだが、制度が異なる。棋士は、性別に関係なく、原則として養成機関「奨励会」の三段リーグを突破することでプロになれるが、これまで女性が棋士になった例はない。(杉村和将)
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