新潟県柏崎市の鵜川地区女谷に約500年前から伝承されてきた古典芸能「綾子舞」の現地公開があった。昨年秋に完成した常設舞台での初公演で、観客約600人が優美な舞に見入っていた。【内藤陽】
綾子舞は、女性が踊る「小歌踊」、男性が演じる「囃子(はやし)舞」、「狂言」で構成。国の重要無形民俗文化財で、2022年11月には民俗芸能「風流踊」の一つとして、ユネスコ無形文化遺産に登録された。過疎化による後継者不足や指導者の高齢化が進む中、下野、高原田の二つの集落(座元)が振興会を組織。後継者育成のため伝承学習に取り組む小中学生、伝承者養成講座に通う高校生らを指導している。
晴れの舞台で小中・高校生らが両座元のメンバーとともに披露したのは11演目。同じ演目でも歌や踊りに違いのある「常陸踊」(下野、高原田)や男女の道行きを少女が無心で踊る「田舎下り踊」(下野)などの小歌踊、7年ぶりとなる大人の色気漂う狂言「鐘引」(高原田)などが披露された。高原田の座頭、猪俣義行さんは「新型コロナの影響もあり練習は大変だが、毎年違った演目をお目に掛けたい」と意欲を語った。
昨年、舞台清めの舞「三番叟(そう)」(下野)を演じた、市立南中2年の五十嵐祐惺さん(13)は母親と鑑賞。「大人な内容だったけど『鐘引』が面白かった。ベテランの演技はひと味違う」と感心していた。
綾子舞の伝承地・綾子舞会館は、同市中心部から南へ約16キロ離れた山あいにある。これまで現地公開は、屋外に仮設舞台を組んできたが、今後は常設舞台で行われる。同市綾子舞保存振興会の高橋一也会長は「演者も観客もいい顔をしていた。現地まで見に来てくれる気持ちがうれしい。ボランティア含めスタッフは高齢だが、精いっぱい続けていきたい」と話した。
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