青森県中泊町の旧家・宮越家が所蔵するふすま絵が、英国の大英博物館所蔵の作品と同一の作者によって描かれた一連のものであることが判明した。町教育委員会が17日発表した。室町時代から約400年続いた日本画の絵師集団「狩野派」に属する絵師が描いたことが明らかになり、町は「極めて貴重な文化財で、絵画史研究に大きな進展をもたらす」としている。
調査結果が公表されたふすま絵は、江戸時代から地元の豪農として知られた宮越家の9代目・宮越正治氏が1920年に妻のために建てた離れに飾られていた「花鳥図」「竹図」「風俗山水図」の3組計18枚。
2023年から調査にあたった狩野派研究者で元京都国立博物館主任研究員の山下善也さん(65)は記者会見で、18枚のうち花鳥図の4枚について「画風や図柄の連続性などから、大英博物館が所蔵している『花鳥図襖(ふすま)』とつながる8枚の作品であるとみてよい」と説明した。
大英博物館の作品は桃山時代末期から江戸時代初期にかけて制作され、奈良県桜井市の談山(たんざん)神社に飾られていた可能性が高いことが既に判明している。宮越家のふすま絵も同様に制作・所蔵されたとみられるという。
いずれも明治維新の混乱の中で売りに出され、一対は英国へ、一対は青森へ渡った。宮越家の花鳥図は春と夏の景観が描かれているのに対し、大英博物館の作品は秋と冬の情景が描かれている。
大英博物館は町教委に「今回の発見はこれらを描いた画家に新たな光を当てるものとなるだろう」とのコメントを寄せた。
中泊町博物館の斎藤淳館長は「極めて貴重な資料。なるべく早く保存のための修理を行いたい」と話した。【江沢雄志】
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