秋田県鹿角市の夏の風物詩「花輪ばやし」の屋台が展示された道の駅で22日、結婚式が行われた。新郎新婦はアメリカ出身の女性と東京出身の男性。ともに花輪ばやしに魅了された2人で式は祭りさながら豪華絢爛な雰囲気で大いに盛り上がった。
地元の思いが詰まった手作りの式だが、なぜこのような結婚式を執り行い、こだわったのだろうか。
鹿角市の「道の駅かづの」にある花輪ばやし祭り展示館。花輪ばやし祭りで使われるきらびやかな屋台の前で海外・県外の2人が22日、結婚式を挙げた。
新婦はコリーン・クリスティナ・シュムコーさん、新郎は橋本 俊和さんだ。コリーンさんはアメリカ出身俊和さんは東京出身。2人は現在、千葉県松戸市で長男と生活している。
どうしてこのような結婚式を挙げることになったのか。その理由はコリーンさんにあった。
実は都内の大学で三味線の研究をしているコリーンさん。松戸市に住む鹿角市出身の知人を通じて2018年に花輪ばやしに参加して以来、祭りで演奏される音楽に魅了されたという。
その次の年の2019年、コリーンさんが俊和さんと結婚することを地元関係者が知り、花輪ばやしをテーマにした結婚式を提案した。当時は新型コロナウイルスの感染が拡大していたため、実施に至らず、実現は実に5年越しだ。
式には新郎新婦の家族や地元関係者など約90人が国の内外から駆け付けた。
2人の指輪の交換だが、指輪が入った箱を渡すはずだった長男・能庵くんが眠ってしまった。厳かな雰囲気から一転…どことなく温かいハプニングで会場は穏やかな空気に包まれた。
退場の際には、祭りの関係者からオリジナルのちょうちんが贈られたほか、はやしの演奏が披露され、二人の門出に花を添えた。
このあと、会場の外では屋台が運行され、俊和さんは先頭を歩き、コリーンさんは屋台に乗って三味線を演奏した。出席者や観光客が見守る中、念願の式を挙げられた二人。喜びもひとしおだ。
俊和さんは「5年間長かったなっていうところとようやくやり切れたという気持ちでいっぱい」とほっとした気持ちを素直に表現していた。
コリーンさんは「一番感動したのが、初めて聞く人が多かった。日本人も外国人も初めて聞いてもみんなすぐノリノリになって、ダンスしている人も見たからこれが花輪ばやしの力だと思った。壁がなく言葉もなくいろいろ伝えられて結婚式ができて何より感謝している」と話していた。
一方、式を企画した花輪ばやし祭典委員会の戸澤 正英相談役は「感激感動している。前代未聞の花輪ばやしの神前結婚式を挙げられたのでまずはお幸せに。そしていろんなところで花輪ばやしと鹿角市PRしてもらいたい」と期待を寄せた。
祭りさながらの雰囲気で行われた結婚式。新郎新婦…そして出席者にとってもかけがえのない思い出となったはずだ。
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