将棋の西山朋佳女流三冠(29)=白玲・女王・女流王将=が2日、東京都渋谷区の将棋会館で指された棋士編入試験五番勝負第2局で山川泰熙(たいき)四段(26)に敗れ、1勝1敗となった。
先手で得意の中飛車を採用した一局。序盤から少しずつ形勢を損ね、最終盤は追い込みを見せたが届かなかった。
局後は「苦しいかなと思っていました。精度の低い手を重ねてしまったかなという感じがします」
将棋の「女流棋士」と「棋士」は制度が異なり、棋士は性別を問わず、養成機関「奨励会」を突破すればなれるが、過去に在籍した女性で四段(棋士資格)への昇段を果たした人はいない。
西山女流三冠は2010年から奨励会に在籍し、15年に最高位の三段まで昇ったが、最難関の三段リーグを突破できず。年齢制限が近づいた21年に退会して女流棋士に転向。タイトル獲得通算16期を重ねている。
一方、アマチュアと女流棋士には奨励会を経なくても編入試験によって棋士になる道がある。「棋士の公式戦で10勝以上、かつ勝率6割5分以上の成績」を残すと受験資格を得る。西山女流三冠は昨年6月から今年7月までの公式戦成績が13勝7敗となり、資格を満たした。
06年の制度化以降、編入試験の受験資格を得たのは7人目。女流棋士では22年、西山女流三冠と女流全八冠を分け合う福間(旧姓・里見)香奈女流五冠(32)=清麗・女流王座・女流名人・女流王位・倉敷藤花=が資格を獲得し、編入試験に臨んだが、0勝3敗で不合格に。西山女流三冠は女性として2例目の受験に臨んでいる。3勝すると棋士編入が決まる。
西山女流三冠は先月28日の女流タイトル戦を新型コロナウイルスの感染により延期したばかり。本局は対局中にせきをする場面が目立つなど、体調万全とは言えない様子がうかがえた。「体調管理の至らなさ。(第1局から)体調悪い中ではあったんですけど、できることをしようと思っていました」。振り返る声はいつもと違った。
来月を予定する第3局では、昨年の新人王戦で優勝した実力者の上野裕寿四段(21)と対戦する。2敗目を喫すると後がなくなる。第3局に向け、西山女流三冠は「次は公式戦でも活躍されている上野さん。充実されている印象もありますので、しっかり実力が出せる状態に持っていきたいです」と語っていた。(北野新太)
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