俳優、演出家の串田和美(かずよし)さん(82)の新作戯曲「ガード下のオイディプス スフィンクスの謎解き」が東京都墨田区横川1の「すみだパークシアター倉」で上演中だ。串田さんが主宰する「フライングシアター自由劇場」による公演で、ソポクレス作の「オイディプス王」を現代風にアレンジした。「古代ギリシャ悲劇の傑作を、自由な解釈と表現で舞台化しようと思った」と串田さんは言う。
物乞い用の空き缶を首に下げ、サングラスをかけた盲目の老人が、ハーモニカを吹いている。やがて、列車のごう音とともに7人の演者が登場し、「オイディプス」の舞台の幕が開く――。
原作では、そうとは知らずに実父のライオス王を殺したオイディプスは実母のイオカステを妃(きさき)にする。だが、真相を知ると自身の手で両眼をつぶしてしまう。
今作で自ら盲目の老人を演じる串田さんは、「科学が発達した現代社会は、さまざまな謎の解明が進み、便利になった。けれども、見えていても分からないものがある。そんな思いでこの戯曲を書いた」と話す。人間の欲望や不条理など、この作品にも普遍的な要素が込められる。また、演奏や歌など音楽シーンがふんだんに盛り込まれ、「エンターテインメントとしても楽しんでもらえれば」と言う。
フライングシアターは、昨春まで長野県松本市の「まつもと市民芸術館」の芸術監督を務めていた串田さんが「多様な人々が集い、舞台を創作する場をつくろう」と始めた演劇企画創作カンパニーで、昨年12月に第1回公演が行われた。
28日まで。オイディプス役は串田さんの息子、串田十二夜さん。イオカステは俳優の大空ゆうひさん、ライオス王は大森博史さんが演じる。詳細はフライングシアター自由劇場のホームページ。【明珍美紀】
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