リストの難曲「ラ・カンパネラ」を独学で習得した佐賀市のノリ漁師、徳永義昭さんと妻千恵子さんをモデルにした映画「ら・かんぱねら」が完成し17日、佐賀市で特別試写会があった。徳永さん役の伊原剛志さんや妻役の南果歩さんらが舞台あいさつに立ち、佐賀の人々の協力に感謝する共に「夢」を持つ事の大切さを語った。
徳永さんは52歳の時にテレビで「魂のピアニスト」と呼ばれた故フジコ・ヘミングさんが「ラ・カンパネラ」を演奏するのを見て感動。ピアノは初心者ながら弾きこなすことを夢見て練習を続けてマスターした。今は「奇跡のピアニスト」とも呼ばれ、海で働くかたわら各地で演奏もする。
1時間59分の作品は、朝の有明海の漁港のシーンで始まる。「夢があれば生きていける」がテーマで、四季折々の佐賀の情景の中にノリ養殖の作業、後継者や環境の問題なども描かれている。
伊原さんも撮影前からピアノに取り組み、作品では自分で「ラ・カンパネラ」を演奏。誕生日を迎えた妻に弾いて聞かせるラストで「妻にささげるスローバラード」(鈴木一美監督)にもなっている。
出演者の舞台あいさつには、多久に出生届が出ているという父親役の不破万作さん、息子役の緒形敦さん、佐賀市川副町出身の川崎瑠奈さんも登壇した。
南さんは作品に「大人も夢を見ようよというメッセージが込められている」と指摘。「夢見ている大人を見て、子供たちも大人になるって楽しいんだと思うようになる」と話した。伊原さんも「人間、何か目標、夢を持つことが大事だと今日見ながら思った」と振り返った。
徳永さん夫妻も駆けつけ、徳永さんは「見て、これ俺の映画じゃない。みんなで作り上げた映画だと思った」。鈴木監督は「皆さんに育ててもらいながら20年寿命のある映画にしていきたい」と語った。
作品は2025年1月に佐賀市の「イオンシネマ佐賀大和」で先行公開。2~3月に福岡県や熊本県、広島県、5月に東京の映画館で上映される。【西脇真一】
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