ほのぼのとしたタッチで擬人化した動物やサンタクロースを描き、人気を集める絵本作家の谷口智則さん(46)の作品展が三井寺観音堂書院(大津市園城寺町)で開かれている。発行部数20万部を突破したベストセラー「100にんのサンタクロース」(2013年出版)をはじめ絵本の原画約200点が並ぶ。12月8日まで。【飯塚りりん】
大阪府四條畷市出身の谷口さんは21年にも同寺で展覧会を開いた。谷口さんが擬人化した動物を描く上で原点となった「鳥獣人物戯画」を描いたのが三井寺で長吏を務めた覚猷(かくゆう)(1053~1140、通称・鳥羽僧正)だという説があることや、同寺に「100にんのサンタクロース」と同じ100体の観音像が安置されていることからつながりを感じてきたという。
谷口さんの作品は黒いキャンバスにアクリル絵の具で描かれているのが特徴。擬人化した動物のほか、サンタクロースが多く登場する。「100にんのサンタクロース」はそれぞれ顔や服装などが異なるサンタたちのにぎやかな物語だ。谷口さんは「世界中の子供たちに絵本を届けたいという自分と、子供たちに夢や希望を与えるサンタさんは似ている」と話し、寺での展示を「サンタは宗教を超えた存在なので、垣根を越えてアートとして楽しんでほしい」とアピールした。
16日には三井寺の仁王門前で、「100にんのサンタクロース」のキャラクターから、高さ3メートルの「おおきいサンタ」と、「三井の晩鐘」にちなみ選んだという65センチの小さな「ベルサンタ」のオブジェが披露された。ベルサンタは谷口さん得意のライブペイントで描き上げ、多くの家族連れを楽しませていた。門内の金剛力士像の「阿吽(あうん)」に合わせ、両サンタの口元は「あ・うん」となっている。
作品を見た同寺の福家俊彦(ふけしゅんげん)長吏は「サンタは国の文化を超え、子供たちに希望を与える『平和』の象徴なので、そのメッセージが伝わってほしい」とほほえみながら話した。
午前10時~午後4時。一般500円、小学生300円。12月1日に京阪石山坂本線を運行中の谷口さんが描いたキャラクターのラッピング電車内でのライブペイント、8日に展覧会場でのライブペイントとサイン会がある。期間中は市内7カ所に「100にんのサンタクロース」のキャラクターのオブジェを設置する。
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