ミシェル・オバマ(2018年9月、米マイアミ) Hunter Crenian-Shutterstock

<カントリー・ミュージックの世界で歴史を塗り替えたビヨンセをミシェル・オバマ元大統領夫人が称賛。楽曲『Ya Ya』の歌詞を引き合いに出し、投票所に足を運ぶよう人々に訴える形で投稿を締め括ったが...>

ミシェル・オバマ元大統領夫人が、カントリーソングをリリースし、ビルボードのカントリー・アルバム・チャートで黒人女性初となる首位に輝いたR&Bの女王ビヨンセを、「記録を破り、歴史を作った」と称賛。同時に楽曲『Ya Ya』の歌詞を引き合いに「'信念を貫き'、'投票に行く'必要がある」と、11月の米大統領選に向けて有権者登録を呼びかけた。

【動画】オバマ元大統領2期目の就任式で国歌を「口パク」するビヨンセ

ミシェルはX(旧ツイッター)に、3月29日にリリースされた新アルバム『カウボーイ・カーター』のジャケット写真を投稿し、「音楽のジャンルを再定義し、私たちの文化を変えることで再び変革をもたらしました。あなたを誇りに思います!」とカントリー・ミュージックの世界で歴史を塗り替えたビヨンセへの祝福メッセージを綴った。

インスタグラムにも「『カウボーイ・カーター』は、私たちが声を傾けてもらい、見られ、認められるためにあらゆることを経験してきたにも関わらず、私たちはまだ踊ったり、歌ったり、弁明をせずにありのままの自分でいられるということを思い出させてくれます。このアルバムは、私たち全員に力があるということを思い出せてくれます。私たちの歴史、喜び、そして投票には力があり、私たち一人ひとりが与えられた才能を活かし、自分たちにとって最も重要な問題について声を上げることができるのです」と長文メッセージを投稿した。

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「私たちは力を合わせ、自分たちが信じるもののために立ち上がることができ、今年の投票所でそれを果たさなければなりません」と綴ったミシェルは、平等な賃金や人種的公正、生殖に関する医療、気候変動などの問題を並べ、それらを変えるために有権者登録をして投票所に足を運ぶよう訴えた。

2月上旬に開催されたNFL王者決定戦スーパーボウルの中継で放映された通信大手ベライゾンのCMで、新アルバムのリリースをサプライズ発表してファンを歓喜させたビヨンセ。予告通りリリースした『カウボーイ・カーター』は、発売直後からさまざまな記録を塗り替える快挙でファンのみならず評論家からも高い評価を得ている。

ビヨンセは、2012年に「この国のために尽くしてくれたこと」に感謝する手紙をミシェルに送り、夫ジェイ・Zと共にホストした選挙資金調達パーティーでは一夜にして400万ドルを集めたと伝えられている。また、翌年1月のオバマ元大統領の就任式では、国歌独唱も披露するなど長年オバマ夫妻と交流を重ねてきたことで知られる。

しかし、ビヨンセを選挙に利用するような投稿をしたミシェルには、「ビヨンセのアルバムについてエッセイを書く時間はあっても、(パレスチナ自治区)ガザで栄養失調で亡くなっている子どもたちのために話す時間はないのですね」「無実の人々が虐殺されているのに、ビヨンセのことなど誰が気にするの?」「ガザの女性たちが恐ろしい戦争犯罪を経験している時に、フェミニズムは何の意味も持たない」「アルバムは素晴らしいが、(イスラエルの首相)ネタニヤフに資金提供をするジョー(バイデン米大統領)には投票しない」と、厳しい批判が寄せられている。

[筆者]
千歳香奈子
北海道・札幌市出身。1992年に渡米し、カリフォルニア州サンタモニカ大学で写真を学ぶ。96年アトランタ五輪の取材アシスタントとして日刊スポーツ新聞社アトランタ支局に勤務。ロサンゼルス支局、東京本社勤務を経て99年よりロサンゼルスを拠点にハリウッドスターら著名人へのインタビューや映画、エンターテイメント情報等を取材、執筆している。日刊スポーツ新聞のサイトにてハリウッド情報や西海岸のトレンドを発信するコラムも寄稿中。著書に『ハリウッド・セレブ』(学研新書)。

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