歌舞伎俳優の市川團蔵(いちかわ・だんぞう、本名市川和雄さん〈いちかわ・かずお〉)さんが19日、誤嚥(ごえん)性肺炎による敗血症性ショックのため、死去した。73歳だった。葬儀は家族で行った。

 祖父は八代目市川團蔵。1956年に初代市川銀之助を名乗り、初舞台を踏んだ。二代目尾上松緑に師事し、87年に九代目團蔵を襲名した。

 「義経千本桜 大物浦(だいもつのうら)」の武蔵坊弁慶といった時代物の豪快な役から、「髪結新三(かみゆいしんざ)」の弥太五郎源七など世話物の俠客(きょうかく)まで幅広い役柄を演じ、舞台を引き締める存在だった。近年は老け役もこなし、「尾上菊五郎劇団」の要として若い主役たちをもり立てた。

 今年5月、歌舞伎座で上演された「四千両小判梅葉(しせんりょうこばんのうめのは)」の隅の隠居役での出演が、最後の舞台となった。

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