京都府綾部市仁和町の塩見悦男さん(88)の米寿を記念したクラシックギターコンサートが4月21日、福知山市駅前町の市民交流プラザふくちやまで開かれた。塩見さんは2022年12月に脳梗塞(こうそく)を患ったが、奇跡的に回復し、今回が自身初のコンサート。会場には大阪で暮らす息子や娘の夫婦、ギター仲間ら約50人がお祝いに駆け付け、塩見さんの独奏に温かい拍手を送った。
塩見さんは約10年前、77歳の喜寿を機に約50年のブランクを経てギター演奏を再開。同市下柳の「足立ゆかりギター教室」で指導を受けるようになった。練習熱心で1曲を仕上げるために数千回から1万回は弾きこみ、コンクールにも積極的に出場。受賞歴もある。
ギターを通じて健康を保ってきたといい、脳梗塞を早期発見できたのも、日課の練習で「いつもと音が違う」と異変に気付いたのがきっかけだった。すぐに受診し、検査で脳梗塞が判明。そのまま約3週間入院した。現在も右手親指にまひが残るが、「ギターは命の恩人」と前向きで、リハビリ代わりにアルペジオや音階練習を毎日続けている。
塩見さんがコンサートで演奏したのは6曲。十六世紀のスペインの作曲家ルイス・ミランの曲については「新しいもの好きな織田信長もきっと聞いた曲」とユーモアを交えながら紹介。今月18日、大阪府門真市で開かれるコンクール、第48回ギター音楽大賞で演奏予定のバッハ作曲、無伴奏チェロ組曲の「アルマンド」を奏でた他、クラシックギターの定番曲「禁じられた遊び(愛のロマンス)」もテンポ良く爪弾いた。
コンサートを企画したギター教室の足立代表は「塩見さんは私の教室の最年長の生徒さん。数年前から計画していた米寿記念のコンサートを無事開催できホッとしている」と話し、いつまでも輝いて、という願いを込め祝奏を披露した。
「次は白寿」に笑顔
塩見さんは「まひのためアルペジオを弾くのも難しくなったが、ギターケースを担いでバスに乗り、教室に通うことはできる。これからだんだん思うように弾けなくなると思うが、103歳まで生きた母のように、私も3桁の年齢になるまでギターを弾き続けたい。バッハのシャコンヌを20分で弾くのが目標」と意欲を見せた。年齢や病気を感じさせない演奏やトーク、有志による数々の祝奏で会場は和やかな雰囲気に包まれ、「次は白寿コンサートを」という来場者の声に塩見さんは笑顔でうなずいた。【綾井まどか】
〔丹波・丹後版〕
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