コパカバーナ・ビーチで160万人の観客を沸かせたマドンナ(5月4日、リオデジャネイロ) Pilar Olivares-REUTERS
<アメリカでは度重なる遅刻で観客から集団訴訟を起こされているマドンナ。この日も50分近く遅れてステージに登場したが...>
ポップの女王マドンナが、5月4日にブラジル・リオデジャネイロのコパカバーナ・ビーチで大規模な無料コンサートを開催。昨年10月にキックオフしたデビュー40周年を記念した世界ツアー「セレブレーション・ツアー」を、キャリア史上最多となる160万人もの観客と共に盛大に締めくくった。
【画像】【動画】トップレスの女性バックダンサーとキスする場面...ブラジルのビーチで160万人がマドンナに熱狂
米国公演では度重なる遅刻で観客から集団訴訟を起こされているマドンナは、この日も予定時刻より50分近く遅れて午後10時45分頃ステージに登場。しかし、熱気に満ちた会場では咎める者はなく、2時間以上に及んだショーは世界最大規模のナイトクラブと化した。
「Like a Virgin」「Like a Prayer」「Vogue」など代表曲を次々と熱唱し、トップレスの女性バックダンサーとキスをするパフォーマンスで観客のボルテージはマックスに。160万人がマドンナの歌声に合わせて大合唱する盛り上がりとなった。
ローリング・ストーンズの記録を更新
1987年にフランス・パリのソー公園で行った公演で記録した13万人を大幅に上回る観客を前に、ブラジル国旗をイメージした衣装でサンバスクールの子どもたちとパフォーマンスを行い、地元ファンを魅了。スペシャルゲストとして登場した同国の人気歌手パブロ・ヴィターと共にブラジル国旗を手に踊りまくり、会場を沸かせた。
ビーチフロントの高層アパートやホテルの部屋でもパーティーをしながらベランダで鑑賞するファンがいたほか、無数のヨットやモーターボートが停泊し、海上から公演を楽しむ人たちで海岸も埋め尽くされていた。
マドンナは「これは本当に起こったこと」とキャプションを添え、人で埋め尽くされたビーチを空撮した圧巻の動画をインスタグラムに投稿。関係者への感謝の言葉を綴っている。
1994年の大みそかに同ビーチで行われたロッド・スチュワートの公演で動員した400万人のギネス記録を破ることはできなかったが、2006年にローリング・ストーンズが動員した120万人の記録を更新。「アメージング」「おめでとう、クイーン」「史上最高のショーをありがとう」と祝福と称賛の声が相次いでいる。
一方、「ひどいショーで、まったく楽しめなかった」「こんな馬鹿げたショーはやめるべきだった」「自分が若いと思っている年老いた女性による最悪のショー」など、批判も寄せられている。また、テイラー・スウィフトのファンたちが「テイラーが記録を抜くのは時間の問題」と盛り上がり、「テイラーには無理」と応戦するマドンナのファンと場外バトルも起きている。
マドンナは当初、昨年7月にツアーをスタートさせる予定だったが、直前に深刻な細菌症で意識不明となり、緊急入院。一時は危険な状態となるも劇的な回復を遂げ、ステージ復帰を果たした。
今回の公演を誘致するため、リオデジャネイロ州と市は2000万レアルを投じたという。周辺には3000人以上の警察官が配備され、18個の音響機器がビーチに沿って設置されるなど、42年のキャリアの集大成にふさわしい舞台となった。
65歳とは思えないエネルギッシュなステージパフォーマンスで160万人もの観客を一体化させたマドンナは、無敵のディーバにふさわしく、投資額の15倍となる3億レアルもの経済効果を周辺地域にもたらしたと推算されている。
[筆者]
千歳香奈子
北海道・札幌市出身。1992年に渡米し、カリフォルニア州サンタモニカ大学で写真を学ぶ。96年アトランタ五輪の取材アシスタントとして日刊スポーツ新聞社アトランタ支局に勤務。ロサンゼルス支局、東京本社勤務を経て99年よりロサンゼルスを拠点にハリウッドスターら著名人へのインタビューや映画、エンターテイメント情報等を取材、執筆している。日刊スポーツ新聞のサイトにてハリウッド情報や西海岸のトレンドを発信するコラムも寄稿中。著書に『ハリウッド・セレブ』(学研新書)。
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