第82期名人戦七番勝負第3局2日目。立会の佐藤康光九段(左端)が開封した封じ手を指す藤井聡太名人(中央)。右端は挑戦者の豊島将之九段=羽田空港第1ターミナルで2024年5月9日午前9時、長澤凜太郎撮影

 藤井聡太名人(21)に豊島将之九段(34)が挑戦する第82期名人戦七番勝負の第3局(毎日新聞社、朝日新聞社主催、大和証券グループ協賛、日本空港ビルデング協力)が9日午前9時、東京都大田区の羽田空港第1ターミナルで再開された。藤井名人の封じ手(45手目)は1六角だった。

 対局室には豊島九段、藤井名人の順に姿を現した。封じ手の局面は藤井名人の優勢とみられており、苦しい局面を一晩考えあぐねたのか、豊島九段の顔には疲れが色濃く浮かぶ。

 封じ手の1六角は、解説の阿部光瑠(こうる)七段が本命に挙げていた一手。2三歩から2筋を攻めた際に金や銀を入手する厳しい狙いがあり、「分かっていても防ぐ思わしい手がない」(阿部七段)。豊島九段は玉自ら参加して防戦に徹し、藤井名人は竜を作って2六に引いた。

 阿部七段は「藤井名人が竜を作ったのは大きなポイント。1六角も急所に利いており、これを生かして攻めたい。豊島九段はこの角の利きをなくして戦いに持ち込みたい」と、封じ手で打った角の働きを勝負の鍵に挙げた。【丸山進、新土居仁昌】

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