あのキャラクターの声が変わる―。人気アニメ「ちびまる子ちゃん」で、3月4日に死去した主人公のまる子役の声優、TARAKOさんの後任が菊池こころさんに決まったが、世代を超えて愛される国民的アニメの声優交代は、常に人々の関心事であり続けてきた。
「かわいらしさ」の水田ドラに
昭和54(1979)年から続く「ドラえもん」の声優陣が一新されたのは、26年後の平成17(2005)年。ドラえもん役の大山のぶ代さんが水田わさびさんに交代したのをはじめ、「いつもの空き地」に集まる5人全員が一気に世代交代、平均年齢が40歳以上若返って話題を集めた。
とりわけドラえもんは、大山さんの唯一無二の「ドラ声」が旧ドラ世代の耳にこびりついていたため、当時30歳の水田さんは「プレッシャーはものすごくありますが、水田わさびなりのドラえもんを目指し、かわいらしさをモットーに頑張っていきたい」とコメントした。
「水田ドラ」の歩みも、来年で早20年。いまの子供たちにとって、ドラえもんの声は水田さんの声だ。初代ジャイアン役を務めた、たてかべ和也さんは平成27(2015)年、初代スネ夫役の肝付兼太さんは翌28(2016)年、それぞれ80歳で鬼籍に入った。
サザエ「家族として歩んできた」
昭和44(1969)年から続く長寿番組として平成25(2013)年、「最も長く放送されているテレビアニメ」としてギネス世界記録に認定された「サザエさん」。55年近い歴史と主要キャラクターの多さから、声優交代も続いてきた。
一方で、主人公のフグ田サザエ役を務める加藤みどりさん(84)は初回放送から一貫して「サザエでございまーす」と、明るい声をお茶の間へ届けている。令和5(2023)年2月、タラちゃんの声を務めた貴家堂子(さすが・たかこ)さんが87歳で死去した際は、「『サザエさん』の初回放送から50年以上、ずっと一緒に家族として歩んできた貴家ちゃん。いなくなって本当に寂しく、悲しい気持ちです」と盟友をしのんだ。
タラちゃん役を引き継いだのは、声優の愛河里花子さん。初回放送時にはX(旧ツイッター)上で「想像以上に声が似てて凄い」などと、違和感のなさに驚きの声が相次いだ。
「五ェ門」の長男が「次元」に
昭和46(1971)年放送開始の人気シリーズ「ルパン三世」は、ルパン三世役の山田康雄さんが平成7(1995)年に62歳で急逝、ルパン三世のものまねをしていたタレント、栗田貫一さんが引き継いだ。
23(2011)年には剣の達人・石川五ェ門、美貌の峰不二子、ルパン逮捕に執念を燃やす銭形警部役の声優がそれぞれ交代。令和3(2021)年には放送開始以来、すご腕ガンマンの次元大介役を半世紀にわたって演じ続けた小林清志さんが88歳で引退した。「ルパン。俺はそろそろずらかるぜ。あばよ」との引退コメントが話題を呼んだ。
小林さんは翌4年に死去。次元の声は、初代五ェ門役を務めた大塚周夫(ちかお)さん(故人)の長男、大塚明夫さんがバトンを受け継いでいる。
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