Eliot Blondet / ABACAPRESS.COM-Reuters
<独創的ながら不気味な印象を与えるチャールズ英国王の新たな肖像画を、英各紙は「拘束具のよう」「処刑されるべき」などと批判>
イギリスのチャールズ国王の即位後初めてとなる公式肖像画が、5月14日にロンドンのバッキンガム宮殿で公開された。除幕式では国王が自ら幕を引いたが、肖像画を見た際に一瞬ショックを受けたような反応をしたことが注目を集めている。この肖像画は、背景の色味などに不気味な印象を受ける人も多かったようで、多くの議論を呼んでいる。
■【動画】「ショックを受けてる...」 英チャールズ国王、自身の肖像画を目にした瞬間の「反応と表情」が話題に
肖像画は、国王が2022年にロンドンの同業組合で慈善団体でもあるドレイパーズ・カンパニーのメンバーとして50周年を迎えたことを記念して制作された。肖像画を手がけた画家のジョナサン・ヨーも式典に参加した。
肖像画の制作はチャールズ国王の即位前から始まり、戴冠式後の2023年11月に完成した。国王は2月にがんと診断されたものの、現在は公の場での公務を再開している。
肖像画は、抽象的な背景の赤色が前面ににじみ出ているように描かれ、国王の顔だけが浮き上がって見える。
ヨーによれば、自身がインスパイアされた重要な要素が2つあるという。1つは、国王がウェルシュガーズ(ウェールズ近衛連隊)大佐として着用していた礼服の鮮やかな赤色で、この地位は国王の即位に伴いウィリアム皇太子が引き継いでいる。もう1つは国王自身が提案した「蝶」の存在で、モナークバタフライとも呼ばれるオオカバマダラを肩の上に描いた。
この肖像画はネット上で賛否両論を呼んでおり、チャールズ国王自身も除幕式では一瞬驚いたような反応を見せた。Xに投稿された映像を見ると、国王が肖像画を覆っていた布を引いた瞬間、驚いたように肩を上げ、続いて笑いを浮かべた瞬間が捉えられている。
「拘束具のよう」「処刑されるべき」と英紙も批判
国王の反応は自嘲的なものだったとみられるが、多くのソーシャルメディアユーザーは、国王が肖像画の自分にショックを受けたと解釈しているようだ。
国王の「リアクション」とともに、肖像画自体にも注目が集まっており、称賛と批判の両方の声が上がっている。
英紙テレグラフの美術批評家アラステア・スークは、チャールズ国王の父フィリップ殿下に似ているとし、また絵の中のチャールズが着ている服の高い襟が「拘束具のようにのどを締め付けている」と指摘した。
英紙タイムズの美術批評家ローラ・フリーマンは、ヨーは「(国王の)顔については爵位を与えるに値する」が、「背景については、塔(ロンドン塔)に送られ、悲惨な処刑を待つべきだ」と批判した。
「これまでに見た中で最も醜いもの」
ソーシャルメディアユーザーからも、肖像画に対してさまざま意見が上がっている。ウェブ番組の司会者グレアム・アレンは、「これまでに見た中で最も醜いものだ」とXに投稿した。
ヨーは、国王の肖像画を依頼されたことはついて「名誉であり、喜び」だと王室のプレスリリースで述べている。「私がこのプロジェクトを始めたとき、国王陛下はまだ皇太子だった。描いた蝶が国王陛下の肩の上を舞っているように、被写体の公の場での役割が変化したのに伴い、肖像画も変化した」
「一人ひとりの顔に刻まれた人生経験を捉えることに全力を尽くしている」とヨーは述べ、国王の肖像画については「21世紀の君主制を反映しながら王室の肖像画の伝統を参考にし、何よりも被写体の深い人間性を伝えることを目指した」としている。
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