オープニング曲だけで気分が盛り上がる。中島みゆきさんの「新・地上の星」は、再録音でキーが少し高くなったみたいだけど、ワクワクさせてくれるのは以前と同じ。
NHK総合で「新プロジェクトX~挑戦者たち~」が始まった。大人気番組の18年ぶりの復活。ご存じの通り、巨大なプロジェクトの一隅で頑張った無名の人々に光を当てる、ドキュメンタリーである。
6日放送の初回のテーマは、東京スカイツリー建設。パイプ状の鉄骨加工を請け負ったプレス職人や、実際に建設を担当したとび職人たちを取り上げていた。
施工計画を立てた技術者を支えた師弟関係のことや、3組のとび職人グループがスピードを競っていた(競わされていた)ことなど、舞台裏の知られざる人間ドラマを丁寧に発掘していたのはさすが。
旧シリーズの放送時期はミレニアムから5年間。20世紀を振り返るニュアンスがあったように思う。日本の成長期を支えたプロジェクトがよく取り上げられた。
新シリーズは、バブル崩壊後の失われた30年の出来事を取り上げるそうだ。社会規範も人々の人生観も変化しているし、何よりメディア環境が大きく変わっている。
放送では、東日本大震災の発生時に撮影された動画が流れた。タワー頂部で激しい揺れに見舞われて「やばいやばい」と口走る作業員たち。「タワーが倒れて死んじゃうんだって、本気で思いました」という言葉が納得できるワンシーンだった。
ビデオを回し続けた人がいたことに驚くが、決定的瞬間がしっかりと記録されたイマドキの映像ドキュメンタリーは、インパクト抜群だ。
田口トモロヲさんの語りも健在だし、感動的な演出も相変わらずうまい。スタジオ出演していたゲストの一人が、タワー建設を機に「とび職だっていうのを、自慢できるようになりました」と話すのに、ジーン。そこに重なるエンディング曲の「ヘッドライト・テールライト」で涙腺崩壊。また見てしまうなぁ、これは。(ライター 篠原知存)
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