河野太郎行政改革担当相とのライドシェアに関する意見交換の後、記者団の取材に応じる斉藤鉄夫国土交通相=東京都千代田区の国交省で2024年5月27日、佐久間一輝撮影

 東京23区などの一部地域で4月に始まった「日本版ライドシェア」を巡り、斉藤鉄夫国土交通相は27日、IT事業者らの参入を全面的に認める法整備に反対する意向を、河野太郎行政改革担当相に伝えたと明らかにした。河野氏は「モニタリング検証と並行して、法制度の検討を進めるべきだ」と話したといい、両者の意見は一致しなかった。

 斉藤氏によると、意見交換は国交省側が提案し、デジタル庁にある河野氏の執務室で行われた。

 「日本版ライドシェア」はタクシー会社が運営主体となり、一般ドライバーが自家用車を使って有料で客を運ぶ。時間帯や台数が限られ、タクシー会社以外の参入を認めるよう規制緩和を求める声がある。全面解禁について、政府は6月にも方針を示す。

 斉藤氏はこの日、記者団に「公共交通の適正な事業運営や、運転者の労働環境に大きな影響が生じる。(全面解禁を)導入しないで済むことがベストだ」と表明。「新たな法制度を検討すること自体が取り組みを足止めすることになるとの声もあり、現場を混乱させる」と慎重姿勢を示した。

 一方、各地のタクシー事業者や自治体が自家用車によるライドシェア事業に乗り出していることは評価し「利用者目線でこの流れをさらに加速させるため、前向きなバージョンアップを直ちに開始したい」と述べた。雨の日や大規模イベント時などタクシーが特に不足する際の台数拡大などを検討し、全国に波及させるという。現行制度で移動の足の不足が解消されるのであれば「新しい法制度は必要ない」と強調した。

 ライドシェアを巡っては、岸田文雄首相が4月のデジタル行財政改革会議で、5月中に論点を整理するよう関係閣僚に指示していた。【佐久間一輝、原田啓之】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。