自民党は29日、派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法の改正を巡り、衆院政治改革特別委員会の理事懇談会で修正案を提示した。本則での修正点は、政策活動費の支出記載を「月単位」にするという1点のみで、野党側は「ゼロ回答だ」と反発した。自民は月内の衆院通過を目指しており、連立を組む公明党もこの日は回答を保留したものの、最終的には賛成する方向。与党のみで今国会中に成立させる見通しとなった。

自民党本部(資料写真)

◆「付則で検討するなら、今からやって」

 政策活動費は、党から議員に支給する使途公開義務のない資金。自民の当初の改正案は「組織活動費」「選挙関係費」などの大まかな使途を、年間総額で収支報告書に記載する内容だったが、新たに「月総額」とすることにした。  一方、野党は一致して政策活動費の廃止か領収書の公開を主張。公明も「明細の公開」を求めている。  自民の修正案では付則で、「個人献金を促進する税制優遇措置の検討」や「外国人のパーティー券購入規制検討」など、野党の要求も一部取り入れた。ただ、付則は本則に比べて付随的な意味合いしかなく、野党は「付則で検討するなら、今からやってほしい」と受け入れていない。

◆企業・団体献金禁止は拒否

 野党が重要視する企業・団体献金の禁止や、議員が会計責任者と同じ責任を負うことの明確化についても、自民は「難しい」「現実的ではない」と拒否。日本維新の会の藤田文武幹事長は29日の記者会見で「全くやる気がないと評価せざるを得ない」と厳しく批判した。  公明は自民にさらなる修正を促している。ただ、自民案は自公両党で協議して作成した経緯もあり、公明議員の一人は「小選挙区では資金面も含め、自民と協力して選挙をしてきた。自民と異なる対応はできない」とも説明する。参院では自民の議席は過半数に届かないが、公明が賛成した場合は自民の修正案が成立することになる。  与野党協議は30日も継続し、自民が再修正案を提示する見通し。自民の浜田靖一国対委員長は「月末までには結論が出るように努力したい」と記者団に述べた。共産党の田村智子委員長は29日の記者会見で「自民案では今後も企業にパーティー券をいっぱい買ってもらい、使い道も分からず、裏金の構造を残すことになる」と強い懸念を示した。(井上峻輔、近藤統義) 

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