岸田首相は30日の参院内閣委員会での子ども子育て支援金などに関する質疑の中で、立憲民主党の塩村議員から就職氷河期と少子化の関係について問われ「関係はあると考えるのが常識的だと考えている」とし、「重く受け止めるべきだ」との認識を示した。
岸田首相は「就職氷河期世代はバブル崩壊後の雇用環境が厳しい時期に就職活動を行ったため、不本意ながら非正規雇用で働いている方、引きこもり状態にある方など、さまざまな課題に直面している方が含まれる。経済的な不安定さは、少子化の要因の一つであり、就職氷河期世代が30代前半を迎えた2000年当時の合計特殊出生率が1.2となったことは事実だ」と指摘した。
その上で「就職氷河期世代における経済的に不安定な方々の結婚や子育ての希望を十分に実現するに至っていなかったことは重く受け取るべきだ」と述べた。
この答弁について、塩村議員は自身も氷河期世代だとした上で「氷河期の皆さんは少し救われたのではないか」と述べた上で、「少子化は就職氷河期世代については切実なものだ。今回の支援金制度というのは、子供が産めなかった氷河期世代にとっては負担が増えるばかりになってしまうが、私たちは理解していきたいと思っている」と語った。
その上で「みんなが理解できるような働きかけを行っていただきたかったという点で言えば、最初に負担金の話がどんどん変わっていくというのはやっぱり納得できないというか、不信を招くだけになるから、今後は気をつけていただきながら色々と発信を心掛け、分断を生まないようにしていただきたい」と述べた。
また、塩村議員が出産費用の保険適用や無償化について尋ねると岸田首相は、「妊婦の方々が安心して出産できるように、経済的な負担を軽減するために、昨年4月から出産育児一時金を42万円から50万円に大幅に増額するとともに、出産費用の見える化のため医療機関等ごとのサービス内容や出産費用の状況などを公表するウェブサイト出産ナビの運用をまさに本日から開始したところだ」と政府の施策をアピールした。
岸田首相はその上で「出産費用の保険適用については、サービスの質が確保されるというメリットがある一方で、全国一律の診療報酬で評価されることで、かえって妊婦の選択の幅を狭めてはいけなといった課題もあり、この二つの考え方を踏まえていくことが出産費用を考える上で重要だ」と強調し、「昨年度の出産育児一時金の引き上げは、平均的な標準費用について妊婦に自己負担が生じないように費用を算定した。保険適用の検討に当たっても、こうした基本的な考え方を踏襲していきたい」と述べた。
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