一般ドライバーが自家用車を使って有料で客を運ぶ「日本版ライドシェア」を巡り、政府は30日、タクシー事業者以外の参入を認める全面解禁に向けた法整備について、期限を設けず議論する方針を固めた。ライドシェアの導入効果などに関するデータの検証と並行して6月以降も検討を続ける。岸田文雄首相と河野太郎行政改革担当相、斉藤鉄夫国土交通相が同日、官邸で会談して合意した。
ライドシェアを巡っては、岸田首相が4月のデジタル行財政改革会議で、5月中に論点を整理するよう関係閣僚に指示。6月までに方向性を示したい考えだったが、与党内でも慎重論が根強いことに配慮し、結論を先送りした形だ。
これに先立ち斉藤氏と河野氏は27日に意見交換。IT企業などタクシー事業者以外の参入を認める際に必要な法制度を巡り、斉藤氏は現行制度の改善や効果の検証を優先すべきであり「法制度を検討すること自体が現場を混乱させる」などと慎重姿勢を示した。一方、河野氏は検証と並行して法制度も検討すべきだと訴え、意見が対立していた。
30日の3者会談では、斉藤氏が改めて法制度の議論自体をしないよう求めたのに対し、河野氏は「今から法制度の議論をし、弾を込めておくべきだ。(現行制度の)成果が上がらないとなった時にはすぐに引き金を引けるように」と主張。岸田首相が「特定の期限を設けない」ことを提案し、合意を取り付けたという。
会談後、斉藤氏は記者団に「なかなか承服しがたいところだが、私の気持ちもくんでいただいた。懸念は払拭(ふっしょく)できると考えた」と述べた。【佐久間一輝】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。