岸田文雄首相(右)と会談する公明党の山口那津男代表=首相官邸で2024年5月31日午前10時32分、和田大典撮影

 岸田文雄首相(自民党総裁)は31日午前、政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正に向けた法案修正を巡り、公明党の山口那津男代表と首相官邸で会談した。パーティー券購入者の公開基準額について、公明党の要望を受け入れて現行の「20万円超」から「5万円超」に引き下げることで合意した。自民修正案は「10万円超」にとどまり、公明側がさらなる修正を強く求めていた。

 首相は、山口氏との会談後、日本維新の会の馬場伸幸代表とも会談した。公明、維新の要求を再修正案に取り込むことで法案成立に道筋を付けたい考えだ。

 山口氏は会談後、記者団に、パーティー券購入者の公開額について「10万円だったが、これを5万円とする」と説明。また政治資金の透明性確保のため、外部監査として「第三者機関」を設置し、政党から議員個人に支出され使途が公開されない「政策活動費」の支出内容をチェックすることでも合意したと明らかにした。実施時期など詳細は今後、調整する。自民の提案については党内に持ち帰って対応を検討する。

 公明党は、自民案に対して施行3年後をめどとした見直し規定の明記を盛り込むことなどと引き換えに、採決では賛成する方針だった。だが、世論の反発や野党が公明の対応への批判を強めたことなどを受け、法案の更なる修正を求める動きをみせていた。

 山口氏は30日の党会合で、パーティー券購入者の公開基準額についての主張は変わらないと強調した上で、自民修正案について「そのまま賛同することはできない」と言及。同日のBS番組では、5万円超への引き下げは維新や国民民主党も求めているとして、「自民党が5万円超と決断すればかなり幅広い合意になる」として「高いレベルで英断をしてほしい」と期待感を示していた。

 首相は、山口氏との会談後、国会内で維新の馬場氏と会談に臨んだ。維新は、政策活動費の10年後公開などを提案している。維新案は、政党から議員らに精算不要な「渡し切り」で経費を支出することなどを禁止した上で、「特定支出制度」を新設。「特定支出」の報告書に領収書を添付して総務省などに提出し、10年後に公開するとしている。

 第三者機関の設置は維新に加え、公明も主張しており、法案に盛り込むことで、法案成立に向けて与野党の協力を取り付ける思惑がある。【野間口陽、樋口淳也】

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