日本の総理大臣として9年ぶりに国賓待遇でアメリカを訪問した岸田総理。
バイデン大統領との共同会見で強固な日米同盟を国際社会にアピールしました。
一方、核超大国のアメリカでライフワークとする「核兵器のない世界」の実現に向けてどこまで訴えられたのでしょうか。
14日羽田空港に降り立った岸田総理。
帰国前の会見では今回の訪米の成果を強調しました。
【岸田首相】
「日米がグローバルなパートナーとしていかなる未来を次の世代に残そうとしているのか世界に向けて伝えることができた」
今月8日からの岸田総理のアメリカ訪問。
安倍元総理以来の9年ぶりとなる国賓待遇で、日米の強固な関係性を国際社会にアピールするものとなりました。
【アメリカ・バイデン大統領】
「強調したいのは日米同盟は歴史上かつてないほど強固なかたちだということです」
【岸田首相】
「日本とアメリカの固い絆を確認するとともに日本とアメリカがどんな未来を築こうとしているのか内外に向けて示す貴重な機会にしたい」
両首脳は日本とアメリカを「未来のためのグローバルパートナー」と位置づける共同声明を発表。
防衛・安全保障など幅広い分野で連携を強化することで合意しました。
さらに「核兵器のない世界」への実現についても・・・。
【岸田首相】
「核軍縮に関する現実的・実践的な取り組みの進展を確認し、私のイニシアティブで発足することになったFMCTフレンズへの米国の参加を歓迎した」
先月、国連の安全保障理事会で日本が主催した「核軍縮・不拡散」をテーマにした閣僚級の会合で上川外務大臣が表明したFMCTフレンズの立ち上げ。
岸田総理は共同声明で核兵器の原料となる物質の生産を禁止し、新たな核兵器を作ることを防ぐ国際条約=FMCTの交渉開始にむけた会合へのアメリカの参加を歓迎しました。
さらに「世界の核兵器数の全体的な減少が継続し逆行させないことが極めて重要」とした上で、NPT=核拡散防止条約を堅持する重要性も確認しました。
G7広島サミットでも交流を深めた両首脳は晩さん会などで親密な様子を世界に発信。
蜜月関係を演出しました。
さらに岸田総理は安倍元総理以来となるアメリカ議会の上下両院合同会議での演説に臨みました。
【岸田首相】
「アメリカは独りではない。日本は米国と共にある」
スタンディングオベーションを受けるなど会場を注目を浴びた岸田総理。
【岸田首相】
「広島出身の私は自身の政治キャリアを「核兵器のない世界」の実現という目標にささげてきた」
このように切り出したうえで、「NPT体制の再活性化と国際的機運の向上に長年取り組んできた」と述べましたが、目の前にいる核超大国のアメリカの議員に、具体的な核軍縮への協力を呼びかけることはありませんでした。
6日間の訪米の中で時折、『核兵器なき世界』の実現に言及はしたものの、踏み込んだ言動はなかった岸田総理。
被爆者からは不満の声が聞かれました。
【広島県被団協・箕牧智之理事長】
「核兵器廃絶の話し合いがどこまでできるか期待していたが、そんな話にはならずもっともっと踏み込んでほしかったよね。広島は核被害者。岸田さんには被爆者よりの政治をしてほしい」
<スタジオ>
被爆者から厳しい声も聞かれましたが、総理の”広島推し“も目立ちました。
公式晩餐会のスピーチの中で、
・アメリカへの日本人移民の中で広島からが最多
・広島出身の池田勇人元首相とケネディ大統領との会談のエピソード
・日系初のアメリカ連邦議員の故ダニエル・イノウエ氏の母親が広島出身であることなど
エピソードを織り交ぜていました。
一方で今回の訪米は内閣支持率が過去最低となる中で反転攻勢につなげられるかが焦点でした。
官邸で岸田総理の取材をしている胡子記者によりますと、同行した政府関係者から「『充実した時間だった』と手応えを感じていた」と話していて「かつてないほどの反響の大きさだった」などと評価する声が聞かれる一方、野党側からは岸田総理が「日本の国会ではこれほど素敵な拍手を受けることはない」と演説したことについて、「政治とカネの問題で決着をつけてくれれば、私1人でもスタンディングオベーションしたい」などと皮肉の声も聞かれているということです。
また自民党内からも「総理の責任も問われるべき」という声が聞かれ、今回の訪米が反転のきっかけとなるかは見通せず16日告示される衆議院の島根1区での補欠選に破れた場合には党内でも総理の責任を問う声が高まりそうです。
これから岸田政権どうなっていくのか、地元広島の我々も見守っていく必要があります。
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