町職員へのハラスメントが認定された前町長の辞職に伴う愛知県東郷町長選が4日、告示された。いずれも無所属新顔で、前町議会議長の石橋直季氏(38)と前副町長の近藤悦規氏(60)の2人が立候補を届け出た。ハラスメントを受けた職員への対応や再発防止策を巡って論戦が始まった。
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町議を3期約10年務め、前町長のハラスメント問題で議長として対応に当たった石橋氏は出陣式で「ハラスメントは前町長が一人で起こした問題。町が悪く言われるのは不当なことだ」と語った。早期解決に向けて「被害を受けた職員から思いを聞き、第三者の相談窓口を設け、ケアする態勢を整えたい」と述べた。
巡回バスを中心とした公共交通のあり方の再検討のほか、公共施設の老朽化に対応する「ストックマネジメント部署」の設置などを公約に掲げる。
前町長のもと、5年余り副町長を務めた近藤氏は出発式で、「まちづくりの夢をかなえるため全力で取り組む。新しい町政はマイナスからのスタートになるが、逆風を追い風にするのが私の責務」とし、「ハラスメントを撲滅し、ハラスメントのない職場づくりを全町あげて取り組む」と訴えた。
町政の継続と38年間の行政経験を強調し、学校体育館へのエアコン整備や巡回バスの町外病院への乗り入れ、給食の無料化などを目指すという。
「町民ファーストの町長を」の声
候補者の演説を聞いた50代の女性は「町民ファーストの町長になってほしい。前町長は言動に問題があった。町が発展する政策を期待したい」と話した。
前町長のハラスメントを巡って、昨年11月に事案が発覚。弁護士でつくる第三者委員会は108人に対し、パワハラやセクハラ、マタハラがあったとし、前町長が2018年の就任直後から日常的に繰り返していたと認定。前町長は5月2日に辞任した。
投票は今月9日で、即日開票される。3日現在の選挙人名簿登録者数は3万4876人。(松永佳伸)
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