林官房長官は5日午後の記者会見で、2023年時点での合計特殊出生率が1.20となり過去最低を更新したことについて、「少子化の進行は危機的だ。対策は待ったなしの瀬戸際にある」と述べ、少子化対策の強化に取り組む方針を強調した。

林長官は「少子化の要因は、経済的な不安定さや仕事と子育ての両立の難しさなど個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っている。いまだ多くの方の子供を産み育てたいという希望の実現には至っていない」との認識を示した。

その上で「少子化の進行は危機的な状況にあり、若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでのこれからの6年程度が少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスであり、少子化対策は待ったなしの瀬戸際にあると受け止めている」と強調した。

そして対策として、「昨年末の子ども未来戦略に基づき、若い世代の所得を増やすこと、社会全体の構造や意識を変えること、すべての子ども子育て世帯をライフステージに応じ切れ目なく応援することの3点を柱に据え、前例のない規模で少子化対策の強化に取り組んでいくこととしている」と述べた。

また、児童手当の抜本的拡充や、子ども誰でも通園制度の創設、支援金制度などを盛り込んだ改正子ども子育て支援法が5日に成立したことに触れ、「スピード感を持って、子ども子育て支援の抜本的な強化を執行に移していく。合わせて社会全体で子供や子育て世帯を応援する機運を高める取り組みも重要だ」と強調した。

記者から、これまでの政府の対策が功を奏さなかったのはなぜかと問われると、林長官は、保育所の待機児童数が2017年の約3.6万人から2700人まで減少したことなど一定の成果はあったとした上で、「支援や働き方の見直しを通じて社会全体の構造意識の変化と、子どもまんなか社会を実現し、子供を持つと希望する方が安心して子供を産み育てることができる社会の実現につなげていく」と述べた。

厚生労働省によると、2023年に生まれた赤ちゃんは72万7277人で過去最少となり、合計特殊出生率も1.20で8年連続で過去最低となった。

都道府県別では、東京都が0.99で全国で最も低く、初めて1を下回った。

厚労省は、少子化の背景に経済的な不安定さや、仕事と子育ての両立の難しさなど、結婚や出産・子育てを阻むさまざまな原因があるとしている。

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