自民党の茂木敏充幹事長が全国の党員や若手議員との関係強化に努めている。派閥パーティー収入不記載事件を受けた党の処分を巡っては「不記載額が少ない若手を守った」との声もある。領袖(りょうしゅう)を務める茂木派(平成研究会)が解散を検討する中、次期総裁選出馬を見据えた動きとの見方が広がっている。
「多くの処分者を出してしまったことを重く受け止め、関係議員には二度とこうならないよう対応してもらうことを徹底する」
茂木氏は富山市を訪れた11日、事件について執行部が全国の地方組織や党員らから意見を聞く「政治刷新車座対話」でこう誓った。
この日は総裁選も話題となり、出席者からは、多くの立候補者が激論を交わして自民に政権を託したくなるような空気を醸成すべきだなどの意見が出た。自民富山県連の宮本光明幹事長によると、茂木氏は「国民に見える形で党の方針や国家運営を伝えることは重要だ」と応じたという。
茂木氏は3月に金沢市で始まった車座対話に参加し、その後も愛知や静岡両県なども回って党員らとの交流を深めている。事件の処分では不記載額が少ない約40人を党則に基づかない幹事長注意とした。上層部の指示に従った中堅・若手が多いことを考慮した。
事件が直撃した安倍派(清和政策研究会)中枢だった萩生田光一前政調会長の処分に関しては、派閥要職に就いていないことなどを理由に茂木氏が軽い処分を要求。萩生田氏は党の役職停止にとどまった。茂木氏が総裁選出馬を見据え、全国の一般党員や中堅・若手、最大勢力だった安倍派を取り込もうとしたとも受け止められている。
岸田派(宏池会)若手は「(最大勢力だった)安倍派を草刈り場にしている。事件をうまく利用している」と茂木氏を批判。一方、安倍派若手は「よこしまな思いで中堅・若手を救済したのかもしれないが、ありがたい」と語る。
茂木派は17日に緊急会合を開き、政治団体の届け出を取り下げ、派閥を本格的に解散することを含めて検討する。派閥の枠組みを超えた仲間作りの成否が茂木氏の命運を分けそうだ。(永井大輔)
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