6月から始まった定額減税。対象は国内居住者で、年収が2000万円以下の人です。6月から1人当たり4万円が減税されるというのが、キーワードになっていますが、その内訳は、所得税3万円分と住民税1万円分です。納税者本人だけではなく、扶養している子供や年収が103万円以下の配偶者も対象となります。
 
例えば、夫婦と子供2人の4人家族の場合、1人当たり所得税3万円と、住民税1万円を合わせた4万円×4人分=16万円が減税されます。
 
街の人の受け止めは―
「減税されるのであれば、うれしい」
「実感はないけど期待感はある」
「もっと分かりやすいやり方をやってほしい」
「いまいち、理解できていない。うちら年金暮らしやから、分かりづらい」
「その4万で何かをしようとかはない。物価高が続くなら、この4万円が2回、3回ともらえるならいい」
「定額減税始まっても物価が上がっているので、プラスマイナスどうなのか。国民のことを考えた政治をしてほしい」
 
減税の恩恵を感じる声よりも「まだ分かっていない」という声が圧倒的でした。背景には、立場によって減税の時期や方法が違うことがあります。主に▼会社員▼個人事業主▼年金受給者▼収入により異なります。
 
詳しい話を日本ファイナンシャルプランナー協会福井支部の伊藤公一さんに聞きました。
 
▼所得税について
例)会社員(年収600万円)と扶養家族3人
この家族の場合、月1万9000円の所得税を納めるとして、3万×4人=12万円の減税となります。6月から減税が始まり、12万円分まで毎月減税されますが、この場合、11月までに1万9000円×6カ月分=11万4000円が減税され、残りの減税枠は6000円分になるため、12月は1万9000円から6000円を引いた1万3000円を払う必要があります。
 
例)個人事業主
この減税は、原則、3月の確定申告でまとめて行います。
 
▼住民税について
同じく会社員(年収600万円)と扶養家族3人の家族の場合、年間30万円ほどを納めるとして、1人あたり1万円×4人で4万円の減税となります。つまり、残りの26万円を納めることになりますが、6月分は一律で納税が0円となり、7月から2025年5月分にかけて、26万円を均等に割って納めることになります。
 
ここまでが、定額減税対象者の約3分の2の人が対象となります。一方、残りの3分の1の人については減税しきれず、給付金が発生することになります。
 
▼給付金がある場合
例)会社員(年収450万円)と扶養家族3人
3万円×4人=12万円の減税となります。この家庭の場合、月8000円の所得税を減税しても、6月から12月の7カ月分は5万6000円となり、6万4000円を減税しきれません。この残り分の6万4000円分は1万円単位で切り上げることになっているので、7万円が住んでいる市町から給付されることになります。
 
続いて年金受給者です。
例)単身の年金受給者
年金を2カ月ごとに30万円を受給している人は、所得税を2カ月ごとに1000円ほどを納めるとして、6月、8月、10月、12月と減税されても3万円分には届きません。残った額は、切り上げて3万円がのちに給付されます。
 
給付対象の方は、7月ごろから居住している市町から通知が届き、申請する必要があるので注意が必要です。
 
このような複雑な仕組みになっている定額減税について、専門家に見解を聞きました。
 
仁愛大学特任教授(福井県立大学名誉教授)南保勝氏:
「今回は4万円と少額な上、それが分散される。実感があるかと言うとなかなか持てない。コロナ給付のように10万円の給付という形なら、まだ実感があるのでは」
 
また南保教授は、福井県民ならではの特徴も関わってくるのではないかと話します。
 
仁愛大学特任教授(福井県立大学名誉教授)南保勝氏:
「節約型の家計を優先している福井人が、これだけの減税を受けて消費に走るのかというとあまり考えられない。効果自体も全国に比べて薄いのではないか」
Q県民はどうする人が多い?
「たくさんある預金の片隅に置いておく感じではないか」
 
政府肝いりの定額減税。現状は、分かりづらいと感じている人が多い中、私たちの暮らしぶりが向上するのかどうかは、まだ不透明です。

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