非常時に自治体への国の指示権を拡大する地方自治法改正案を巡り、参院総務委員会は11日、参考人質疑を行った。法案に賛成の立場の自民党が推薦した東大の牧原出教授は、指示権の必要性に言及しつつ「国の関与が強まることは手放しで賛成ではない。要件と手続きを厳格にし、必要最小限の措置を取るという法規定を設けるべきだ」と述べ、指示権行使の歯止めを求めた。

◆指示権行使したら「直後に立法を」

参院総務委に参考人として出席する(左から)本多滝夫氏、東健二郎氏、小原隆治氏、牧原出氏

 牧原氏は、指示権拡大を首相に答申した地方制度調査会の委員を務め、「想定外の状況に対処するための手だては必要」と改正案に賛意を示した。一方で、指示権を行使した場合、「同じ状況では二度と指示権を行使しないよう、直後に個別法に落とし込んだ立法が必要だ」と述べた。  早大の小原隆治教授は、新型コロナ対応の反省から指示権拡大を盛り込んだとする政府の説明を疑問視。現行法でも非常時に対応できるとして、「端的に申して(指示権拡大は)いらない」と主張した。  龍谷大の本多滝夫教授は「国の地方への関与のあり方を根本的に転換する。憲法が定める地方自治、地方分権改革の考え方を否定する」と法改正に懸念を示した。  滋賀県日野町の東健二郎政策参与は、衆院での法案修正により指示権行使後の国会への事後報告規定が盛り込まれたことについて「国会報告の定めが入ったことは大きい」と一定の評価をした。(三輪喜人、我那覇圭) 

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