2年前に完成したばかりの奈良県大和郡山市役所新庁舎について、議会本会議場の設備見直し議論が起きている問題や、市民に開かれた議会の取り組みが遅れていることに絡み、議会改革や議場改造を求める請願2件が13日開会の市議会定例会に提出される。請願2件は最終日26日の本会議で、議員一人一人が賛否の意思を示し、採択か不採択かを決める。議論の行方が注目される。
今の本会議場でマイクがあるのは議長席と演壇だけ。議員らはいちいち演壇に移動して発言する。議案の採決は挙手採決で傍聴者に分かりにくい。議員が議案などへの賛否の意思を自席のボタンで示すと、議場のディスプレーやネット配信映像で一目で分かるように表示できる「電子表決システム」が普及する中、遅れた状況だ。
また、全国96%の市議会が作る単独の広報紙がないうえ、議会活動に関する市民報告会や懇談会を開かず、開かれた議会の取り組みも進んでいない。
計2件の請願は11日の議会運営委員会(議運委)で報告された。一つ目の「議会改革推進を求める請願」では、議員の自席などへのマイク設置による質疑の効率化、議員の賛否ボタン導入などを、議会改革特別委員会を設置して検討するよう要求。議会広報の充実、議員研修や有識者の講演などによる議会改革推進も求めている。
二つ目の請願は、障害があり車椅子を使う人たちが発言しやすいよう、早急に演壇を改造するか、自席マイクを設置するよう求める内容だ。
Wi―Fi(ワイファイ)環境整備を含む議会設備の見直しはこれまで議運委で議論されてきたが、委員会として採決を取ることはなく、結論を先送りしてきた。
今回の請願は19日に議運委でまず審議して採決するが、議運委の採決結果にかかわらず、26日の本会議で改めて採決し、議会としての意思を決める。
大和郡山市議会は議員報酬が月56万円で、人口5万~10万人の市の平均約40万円を大きく上回り、全国で3番目に高い。
一方、全国9割の市議会が交付する政務活動費(政活費)は受け取っていないが、他議会などへの調査を議員個人が公費で行うために1人年15万円を確保。他の市議会が政活費とは別に、同様の予算を設ける例はあまりなく、領収書不要の「隠れた政活費」と言える予算枠だ。
今回の請願では触れられていないが、報酬見直しや政活費についての議論につながるかも焦点になる。【熊谷仁志】
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