県議会全員協議会で、宇留賀敬一前副知事の再任案について説明する山本一太知事=県議会で2024年6月12日午後2時8分、日向梓撮影

 群馬県議会は12日、宇留賀敬一前副知事の再任を巡る初の全員協議会を開いた。山本一太知事は議会に対し、一連の騒動を謝罪した上で、来年までの1年限定で宇留賀氏を再任させた上で中央省庁から後任を選ぶ方針を明かした。地方自治法は副知事の任期を4年と定めるが、協定や覚書、事前の退職届提出などで1年での交代を担保し、国とのパイプが切れることへの各派の懸念に配慮する。定例会最終日の17日に再任案を提出する。【田所柳子、日向梓】

知事「私は約束を破らない」

 「枢要な事業に関わった宇留賀さんが急にいなくなると大きな戦力を失う。この1年が勝負で、新たな投資を呼び込むのに頑張ってほしい」。山本氏は冒頭の説明や質疑で繰り返し各派に調整不足を謝罪した上で、宇留賀氏が水力発電の民間企業への供給や信越化学工業の新工場設置、高崎市の堤ケ岡飛行場跡地活用などで企業誘致に貢献してきた点を示し、理解を求めた。

 山本氏は任期について「私は約束を破らない」と強調。省庁人事が行われる来年7月までを希望したが、議会次第では6月までとする。来春以降に控える県立赤城公園のキャンプ場新設など大型事業が理由。副知事退任後に別のポストで処遇しないとも述べた。

議会各党・会派の反応は

 経済産業省出身の宇留賀氏は5月に県政に専念するとして県と同省の退職手続きを取り、現在は民間人の立場。津久井治男副知事は県庁出身のプロパーで、2人の副知事を置くようになった2007年度以降、初めて省庁出向者がいなくなった。

 自民党県連の井下泰伸幹事長は「この3カ月昼夜を問わず振り回された。議会との関係も悪くなった」とクギを刺し、山本氏は「騒動の原因は私のおごりや甘えにある」とわびた。会派「つる舞う」やリベラル群馬、公明党は地方議会の二元代表制の尊重や議会との信頼関係悪化について注文。共産党は反対姿勢を示し、任期を4年とする地方自治法の趣旨に反すると批判した。「市民生活に関係ない議論だと言われる」との指摘も出た。

 最大会派の自民は「評価はしたい」(井下氏)と山本氏の提案に一定の評価を示しつつ、対応決定はこれからとした。ほかの主な会派には賛否両論があり、共産以外は今後対応を決める見通し。

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