◆馬場代表「公党間の約束破り」
日本維新の会の馬場伸幸代表(資料写真)
「先送りするのであれば裏切られたと捉えざるを得ない」。維新の藤田文武幹事長は12日の記者会見で、厳しい言葉を投げかけ、自民をけん制した。 維新の怒りを買ったのは、自民の浜田靖一国対委員長の11日の発言。記者団に対し、法改正の今国会中の実現は「日程的に厳しい」と語った。 維新の馬場伸幸代表と岸田文雄首相(自民党総裁)は5月31日、3点の政治資金制度改革で合意し、文書に署名したばかり。その一つが「旧文通費の使途公開と残金返納を義務付ける立法措置」だった。維新側は、先送りを「公党間の約束が破られる」(馬場氏)という認識だと主張する。◆議論にも入れないまま会期末迫る
岸田文雄首相=12日、官邸で(千葉一成撮影)
だが法改正に向けては、衆参両院の議院運営委員長による有識者からの意見聴取がようやく決まったところで、議論にすら着手できていない。首相は12日、記者団に「早期に結論を得たいとの思いは国会でも答弁している」と強調しつつ、「具体的な実現時期は合意文書に記載されていない」と予防線を張った。 自民と維新との党首合意では、旧文通費に加え、政党が党幹部らに支給する政策活動費についても「年間の使用上限の設定と領収書の10年後公開」と明記。政治資金規正法改正の自民案がその合意を反映したことを踏まえ、維新は当初批判的だった立場から一転、衆院で賛成に回った。だが合意のずさんさへの指摘が広がるにつれ、参院審議では対決姿勢を強めている。◆「あんな内容で合意した気に…」
維新の東徹氏は同日、参院政治改革特別委員会で「改革が元も子もなくなってしまう。このままでは改正案に賛成できない」と訴えた。だが立憲民主党など反対した他の野党からは、政策活動費の領収書の公開方法は検討されていないことなどを踏まえ「なぜあんな内容で合意した気になっていたのか」と冷ややかな声も上がる。(井上峻輔)調査研究広報滞在費(旧文通費)衆参両院の全議員に非課税で月額100万円が支給される手当。国会法と歳費法に「国政に関する調査研究、広報、国民との交流、滞在等の議員活動を行うため」と明記されているが、使途公開の義務はなく「第2の給与」とも呼ばれる。2022年の法改正では「文書通信交通滞在費」からの名称変更と日割り支給だけが盛り込まれ、使途公開と未使用分返納の議論は先送りされた。
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