G7サミットが開かれるイタリア南部ファサーノ(12日)=AP

【ファサーノ(イタリア南部)=大西康平】主要7カ国首脳会議(G7サミット)が13日、イタリア南部プーリア州で開幕した。15日までの日程で首脳宣言を取りまとめる。ロシアの凍結資産を活用したウクライナ支援の枠組みで合意する見通しだ。

米国や英国が資金を貸し付けた基金からウクライナに贈与し、凍結資産の運用収益を拠出国への返済に充てる案を議論する。

米国はロシア資産の元本の活用を主張したが、国際法上の問題があるとして否定的な欧州連合(EU)の意向を踏まえて調整が進んでいる。西側諸国がウクライナに供与した武器でロシア領土を攻撃することの是非も論点となる。

イスラエルとイスラム組織ハマスが衝突する中東情勢では、恒久的な停戦や人道支援拡充への道筋を協議する。イスラエルの後ろ盾となる米国と欧州主要国の立場の違いも出ている。

欧州に流入する移民への対処やアフリカの開発支援もテーマとなる。欧州議会選では反移民を掲げる極右政党が各国で勢力を伸ばした。フランスのマクロン大統領が下院の解散を発表するなど国際情勢を不安定にする要因となっている。

日本の関心が高いインド太平洋・経済安全保障の議題では、中国の多額の政府補助金を通じた過剰生産問題について懸念を表明する方向だ。台湾海峡の平和と安定の重要性も再確認する。

人工知能(AI)を巡ってはローマ教皇が倫理問題に関して発言する予定だ。2023年のG7サミットで議長国を務めた日本は生成AIの国際的なルールを作る「広島AIプロセス」を立ち上げた。AIが雇用に与える影響などについても議論を深める。

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