リニア中央新幹線の実験線車両=山梨県都留市で2020年10月19日、梅田啓祐撮影

 リニア中央新幹線の南アルプストンネル掘削工事をめぐり、山梨県は18日、静岡県、JR東海と合意した。山梨県側のボーリング調査、本坑などの掘削工事と、地下水の流出量を推定する作業を並行して進める。

 長崎幸太郎知事は同日の定例記者会見で、「(今回の合意で)県内の南アルプストンネル工事が着実に進むとともに静岡県の懸念にも応えられる。1日も早いリニア中央新幹線の開業に向け、県の役割をしっかりと果たしていく」と強調した。

 工事に伴って静岡側から山梨側に流出した水については、静岡県が所有権を主張したり、返還を求めたりしないことを合意事項として明記。静岡県が従来の主張を撤回する形になった。

 これまで調査や掘削工事による流出水量の推定や回復措置が課題だったが、今回の合意では、工事を進めることと並行し、「健全な水循環を回復する措置は必要」とした。措置の内容は今後調整する。流出水量の変化を推定する作業は静岡県とJRが行い、両者が調整して回復措置をとるという。

 流出地下水の回復措置についての3者協議は23年7月から行われてきたという。【佐藤薫】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。