自民党派閥の政治資金パーティー事件を受けた改正政治資金規正法が19日の参院本会議で可決・成立した。法の「抜け道」が残ったままと指摘され、街行く人たちから「信頼回復につながらない」「一般企業と感覚がかけ離れている」などの声が聞かれた。
「1円から公開して」
事件になった政治資金パーティーについて、改正法はパーティー券購入者の公開基準額を現行の「20万円超」から「5万円超」に引き下げた。
「5万円からじゃなく、1円から公開してほしい」。千葉県船橋市の男性会社員(58)はこう強調した。国会の議論も不十分に思え、「これでは政治の信頼回復にはつながらない。これだけ努力したから許してほしいというパフォーマンスに見える」と不信感をあらわにした。
東京都中野区の派遣社員の女性(61)も「購入したら全ての購入者を公開した方がよい」と話した。パーティー券の購入人数に制限が設けられておらず、「公開基準額以下にして大人数で買えば、今までと変わらないのではないか」という意見もあった。
「一般企業の感覚と、あまりにも乖離」
批判が多かったのは、使途の公開が不要な「政策活動費」について、領収書の公開を10年後にすると付則に盛り込まれたことだ。
大阪府吹田市の男性会社員(45)は「一般企業の感覚と、あまりにもかけ離れている」と憤る。「会社の経費なら即日チェックが入る。不正があった場合はどう対応するのか。『使ってしまったから仕方がない』で終わらせるのではないか」と危惧した。
大阪市の百済スミコさん(86)も首をかしげ、「せめて任期中には公開すべきではないか。国民に選ばれる立場の政治家なら、当然の話だと思う」と語った。
「市民感覚では到底理解できない」
福岡県田川市の元高校教諭の女性(70)は「企業・団体献金を全面的に禁止しない限り、また同じことが起きる。問題は『改正された』という印象だけが残り、国民が忘れてしまうことだ」と懸念する。「強行的な採決に国民はもっと怒るべきだ」と語気を強めた。
福岡市博多区で喫茶店を営む70代の女性は「いくら批判されても抜け道を作ってしまうのはひどい。市民感覚では到底理解できない」とあきれた様子を見せた。担当税理士に報告するため日々の収支を出納帳に記録しているといい、「政治家は裏金を作っても逃れられるのはおかしい」と語った。【小林遥、村上正、成松秋穂、山口響】
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