東京都知事選で有権者は次の都政に何を望むのか。東京新聞の「みんなが主人公 まちを変える」シリーズで紹介した地域づくりに取り組む人らに思いを聞いた。
◆「外苑再開発」大きな争点になる可能性
「ゼロエミッション港を実現する会」 吉永瑞能(よしなが・みずよし)さん 世界でもニューヨーク、ロンドン、パリ、ソウルは都市緑化を進めている。東京は街全体としては緑が少なく、地球温暖化対策やヒートアイランド現象対策のためにも今ある緑を守り、増やしていく政策が必要だ。ゼロエミッションを実現する会の中心メンバーの吉永瑞能さん=東京都千代田区で
今の都政は再開発や整備を理由に、至る所で樹木を伐採しようとしている。葛西臨海水族園(東京都江戸川区)の建て替えでは樹木1700本の伐採・移植計画が上がっており、善福寺川(杉並区)の整備や日比谷公園(千代田区)の再整備計画でも樹木が伐採される懸念が出ている。 多くの樹木が伐採されるため反対の声が大きい明治神宮外苑の民間事業者による再開発事業への対応も、新しい都知事を決める上で非常に重要なテーマだ。 神宮外苑の問題で都は踏みこんだ見解を示すことはほとんどなく、伐採を強行する恐れを感じる。一方、候補者の一部からは「一度立ち止まるべきだ」との声も上がっており、大きな争点となる可能性もある。 都知事の姿勢によって政策はがらりと変わる。新たな知事が東京の緑化政策を進めてくれることに大きな期待を抱いている。(小沢慧一)自治体に脱炭素を促す市民グループ「ゼロエミッションを実現する会」 2020年9月に発足し、全国で約2000人の会員がいる。それぞれの地域の自治体に脱炭素化を目指す政策の陳情や請願をしている。都内では同グループの陳情などによって杉並区、目黒区、江戸川区など8自治体がゼロカーボンシティ宣言を公表した。
◆地域の「お付き合い」支えてほしい
「小金井市けやき通り商店会」会長 益田智史(ますだ・ともふみ)さん 「暮らしを豊かにするとはどういうことなのか」を考えるきっかけとなる都知事選になれば良いなと思っています。小金井市けやき通り商店会の会長・益田智史さん=東京都小金井市で
都産業労働局が開催する「東京商店街グランプリ」では、お金を使って大きなイベントを開いた商店街が表彰されがちです。でも、それって本当に今の時代に求められている商店街の役割なんでしょうか。 大型店やネット店舗とは異なり、商店街の個人店舗は、地域の横のつながりの有無が売り上げを左右します。だからこそ、私たち「小金井市けやき通り商店会」は福祉ボランティアに力を入れ、商店街の活気づくりに取り組んでいます。 商店街が生き残るために、もちろん補助金もほしいですが、行政に求めるとしたら、そうした地域の「お付き合い」を裏方としてサポートする姿勢です。会合の場所を提供したり、人手を出したりと、いろいろとやれることはあります。 お金ではなく、地域で信頼や仲間を「稼ぐ」。そうすることで、安心できる豊かな暮らしを手に入れられるのではないかと思います。候補者や有権者には「豊かさ」とは何かを考えて都知事選に向き合ってもらいたいですね。(松島京太)小金井市けやき通り商店会 JR武蔵小金井駅(東京都小金井市)近くのけやき通りを中心とする商店でつくる組織。安心して街に出かけられる仕組みづくりを目指し、福祉施設などと連携して「みんなの安心・ささえ愛ネットワーク」を立ち上げた。スマートフォンのアプリを活用した高齢者見守り活動や地域農園づくりなどに取り組んでいる。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。