東京都知事選の公約は「生煮え状態」――。早稲田大学マニフェスト研究所が、候補9人の公約を検証したウェブサイト「#くらべてえらぶ」(https://maniken.online/kurabeteerabu/)を公開した。総評として各候補の公約は「とても事後検証可能な選挙公約とはほど遠い」と厳しく指摘した。

 同研究所は様々な選挙での候補者の活動や各自治体の議会改革などを研究している。都知事選でも2011年から公約検証をしてきた。今回は、提出を依頼し、回答があった9人の公約を検証、比較した。「理念」「政策の具体性」「政策の一貫性」に加えて、市民の意見を採り入れたかどうかなどの「市民起点度」の4点で評価した「できばえチェック」も実施。サイトの公開は6月27日。

 点数(100点満点)は、安野貴博氏が最高の50点。現状分析から政策立案をしていたり、参加型だったりする点などを評価した。次いで、小池百合子氏の34点。2期8年の実績がわかりやすいが、現状の問題点などが具体的でなく、キャッチフレーズが先行しているなどと指摘した。

 蓮舫氏(32点)については、SNSなどで主張を伝える工夫はされている一方、ビジョンが不明確とした。石丸伸二氏(30点)については、他知事との協働などを示した点で首都の役割を果たす意欲がみえるが、東京のビジョンが示されていないと指摘した。

 同研究所の中村健事務局長は総評で、「政策で選択する際に差別化を図るのが非常に難しい状況。知名度頼みで政策は二の次にされている感は否めない。厳しい言い方をすれば候補者は主権者を馬鹿にしているとさえみえる」と厳しく批判した。

 サイトでは防災や高齢者、教育といった17のテーマで主要候補の公約比較や、選挙公報などをみることができる。(土舘聡一)

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