公明党

 公明党の性的指向と性自認に関するプロジェクトチーム(PT)は3日、性同一性障害特例法改正に向けた党見解をまとめた。同法が定める性別変更の要件のうち、生殖不能手術要件は削除し、外観要件についても、より制限的ではない新たな要件を検討するとした。

 最高裁は昨年10月、生殖不能手術要件は個人の尊重を定めた憲法13条に反し、無効とする決定を出した。変更後の性別の性器に似た外観を備えると定めた外観要件については、審理が不足しているとして憲法判断を示さず、審理を高裁に差し戻した。

 党見解では、生殖不能手術要件について「立法府に法律改正義務が生じている」とし、外観要件については「高裁が違憲と判断する可能性が十分ある。要件のあり方や、新たな要件を再検討する必要が生じている」と記した。

 その上で、見直しの方向性として、生殖不能手術要件を削除し、外観要件を見直して、より制限的ではない新たな要件を検討するとした。新たな要件に関し、PT座長の谷合正明参院幹事長は「例えば一定期間、変更した性別で生活したり、医師の治療を受けたりすることが考えられる」と述べた。

 党見解ではこのほか、医師による診断の正当性をより十分に確保する方法や、未成年の子供がいない「子なし要件」の要否、法律の名称の見直しなども検討項目に挙げた。

 特例法の見直しを巡っては、自民党の性的マイノリティに関する特命委員会が、報告書をまとめている。生殖不能手術要件と外観要件を削除した上で、心と体の性が一致しない「性別不合」の状態が一定期間続き、性自認に基づいて社会生活を送っていることを新たな要件とすることなどを盛り込んだ内容。公明は秋の臨時国会での法改正も視野に、自民との協議に入りたい考えだ。【野間口陽】

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