14日に告示される千葉県印西市長選には現職と新人の計6人が立候補を表明、市内には候補予定者らが写った演説会告知ポスターが張られ、事実上の選挙戦が始まっている。混戦が予想される中、市のホームページ(HP)には早くも、票が分散して誰も法定得票数(有効投票総数の4分の1)に届かず選挙をやり直す「再選挙」についての解説が掲載されている。【合田月美】
千葉ニュータウンの中核を占める印西市は人口約11万人。人口規模では県内17番目ながら、長く経済誌の「住みよさランキング」で全国1位をキープした市で、総務省の統計では人口増加率(2022年)は茨城県つくば市に次いで全国2位、外国人を除けば全国1位を誇る。自然が豊かな一方で、地盤が強固で交通の利便性が良いとして注目され、巨大IT企業などが次々と拠点を設けている。
そんな市のかじ取りを担おうと、これまでに4選を目指す現職の板倉正直氏(77)、いずれも新人で、会社代表の藤代健吾氏(39)▽元市議の中沢俊介氏(57)▽元市議の野崎崇正氏(29)▽元県議の大崎雄介氏(43)▽元市議の松本有利子氏(38)――の計6人が立候補の準備を進めている。
市選挙管理委員会事務局によると、市のHPの再選挙についての解説は「市民からの問い合わせに備え、情報提供しよう」と、6月14日にあった6人目の出馬表明を受けて同18日に掲載した。「法定得票数とは」「有効投票とは」「再選挙の立候補者」など6項目について説明している。
掲載後、「なぜ決選投票じゃないのか」との問い合わせが1件あったという。陣営からは「参考になる」との評価の一方、「市のHPに出されると、再選挙が必至なら選挙に行っても無駄だと投票に行かない有権者が増えるのではないか」といぶかる声もあった。
総務省などによると、1950年の公選法施行以来、再選挙になった市区町村長選は、79年の富津市▽92年の奈良県広陵町▽2003年の札幌市▽07年の宮城県加美町▽17年の鹿児島県西之表市▽同年の市川市▽22年の東京都品川区--の7例のみ。市長選に限ると4例のうち県内が2例を占める。
印西市長選の投開票は21日。
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