兵庫県の斎藤知事のパワハラ疑惑をめぐり、死亡した元幹部職員が残した音声データを入手。そこには“贈答品をねだる様子”とみられる音声が含まれていました。

【斉藤知事とみられる音声】「ワイン、わたし飲んでないので、ぜひまた。この間、イチゴ…、塩はあれですけど、折をみてよろしくお願いします」

この音声は、おととし11月、兵庫県上郡町で開かれた会合で、斎藤知事が関係者に特産品のワインを求めた発言とみられます。音声を残したのは、ことし3月に斎藤知事のパワハラなどの疑惑を告発した元西播磨県民局長(60)でした。


■知事が「嘘八百、公務員失格」と言った県元幹部は死亡 陳述書や音声データ残す

【兵庫県 斎藤元彦知事 3月】「事実無根の内容が多々含まれている。名誉棄損や信用失墜。綱紀粛正、看過できない。業務時間中に“嘘八百”含めて、文書を作って流す行為は公務員として失格です」

県は告発を「事実無根」とし、元県民局長を懲戒処分にしました。

その後、疑惑を調べる百条委員会が設置されましたが、証人として出頭する予定だった元県民局長は今月7日、死亡しているのが見つかりました。自殺とみられています。

関係者によると元県民局長は、「死をもって抗議する」という主旨のメッセージとともに、百条委員会に参加できない代わりに、情報源などを記した陳述書を残していました。

陳述書に書かれた想定問答では、
【質問】「『出張先での飲食は原則ゴチのタカリ体質、お土産必須』について、具体的な話はあるか?」
【元県民局長の回答】「地元のワインが話題となった時に、『まだ飲んでないので、お願いします』などと催促した」

■「ワイン、わたし飲んでないので、折をみてよろしく」残された“おねだり”音声

そして18日、明らかになったのが、知事と関係者との会話を元県民局長が記録したとみられる音声データです。

【斉藤知事とみられる音声】「ワイン、わたし飲んでないので、ぜひまた。この間、イチゴ…、塩はあれですけど、折をみてよろしくお願いします」

ほかにも20メートル歩かされて職員を叱責したことや、贈答品のコーヒーメーカーを幹部が受け取っていたことなど、当初、斉藤知事が「嘘八百」と批判した告発文の内容は事実だったことが次々と判明しました。

■音声データに「記憶がない」と知事

この音声データについて、斎藤知事は18日、

【兵庫県 斎藤元彦知事】「ちょっと今、記憶がないので、確認して、しかるべきタイミングでお答えさせていただきます」

元県民局長が残した音声データや陳述書はすでに百条委員会に提出されていて、19日に開かれる委員会で審議されます。

■県OB団体は知事に「大きな判断」を求める

一方、18日には県職員のOBでつくる団体の会長らが、辞職も含めた判断を求める要望を知事に提出しました。

【ひょうご県友会 吉本知之会長】「知事が大きな判断をすることが、県政の正常化に踏み出す大きな一歩になる」

斎藤知事はこれまでに県職員が加入する労働組合からも辞職を要求されていて、現職・OB、それぞれからノーを突きつけられる形となりました。

■「だいぶ外堀が埋まってきた」と菊地弁護士

斉藤知事は告発文を「事実無根」「嘘八百」と言って批判したわけですが、音声データなどが明らかになり、その根拠が揺らいでいることになります。

【菊地幸夫弁護士】「まだ事実が明らかになったわけではないんですが、ただいろいろな報道、例えば関西テレビの取材などを聞いてると、ある程度の部分は事実であった可能性が高まってきています。仮に核心部分が事実だったとすれば、もうこれはパワハラと言っていい事案だと思います。それを『パワハラではない』と知事がおっしゃるならば、それはパワハラなり法律の解釈が全くできていないというようなことになります。だいぶ外堀が埋まってきたんじゃないですかね」

「音声データで、『自分は飲んでないので折をみてよろしくお願いします』というのは、要するに後で送ってくれということですよね。公務員は軽々にものをもらってはだめですよ」

亡くなった元県民局長が残した陳述書や音声データがどのように扱われるのか。19日の百条委員会で決まる見通しとなっています

(関西テレビ「newsランナー」 2024年7月18日放送)

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