兵庫県の斎藤知事にパワハラの疑いがあるなどと告発する元西播磨県民局長が作成した文書をめぐり、県議会では19日に、法律に基づく強い調査権を持つ「百条委員会」が開かれました。
19日の委員会には、元局長が証人として出席する予定でしたが、7月7日に死亡しているのが見つかり、冒頭、奥谷謙一委員長が「文書の真偽を白日のもとに明らかにすることが務めだ」と述べ、全員で黙とうをささげました。
そして、元局長が準備していたとみられる陳述書や音声データを、審議の資料として採用することを決め、内容が公表されました。
音声データには、斎藤知事がおととし、兵庫県上郡町で町長らに対し、特産のワインについて「まだ私は飲んでいないので、ぜひ折を見てよろしくお願いします」などと話している内容が録音されています。
また、19日の委員会では、元局長の告発内容について、県の全職員を対象に実際に見聞きしたことがあるか尋ねるアンケートを行うことや、8月下旬から証人尋問を始めることを確認しました。
斎藤知事 音声データ内容認めるも辞任しない考え
兵庫県の斎藤知事は19日午後、記者団に対し、音声データの内容について「おそらく私のやり取りだ。上郡町でワインの生産が始まっていて、『県としても、知事としても後押しをお願いします』と言われた。まだ飲んでいなかったので『よろしくお願いします』と発言した」と述べました。
そして、発言の1週間後に、町からワイン2本が県の秘書課に届けられたことを明らかにしたうえで、「県の施策として、産業振興の一環で飲ませてもらった。知事として『食べてほしい』『体験してほしい』と言われることはよくあり、慣例と社交儀礼の範囲内でやってきた。今回の件などを受けて、物品を受領する際のルール作りなどを考えていきたい」と述べました。
また、みずからの進退について記者団から問われたのに対し、「さまざまな指摘や批判がある一方で、心から応援してくれる人もいるので、感謝しながら、しっかり県政を担っていくのが私のやるべき責任だ」と述べ、辞任しない考えを重ねて示しました。
上郡町長 “『おねだり』と感じずも発言は非常に重い”
兵庫県上郡町の梅田修作町長は19日に記者会見し、音声データの内容を集約したとみられる議事録などを確認したとしたうえで、「上郡町にワインという特産品が出来たことを知ってほしくて、知事に会う機会があれば渡したいと思っていた。知事の発言を聞いて渡していないことに気付き、町の職員が県庁を訪れた際に秘書課に渡した」と述べました。
そして、「発言を『おねだり』とは感じ取っていなかったが、トップである知事が公の場で発言されたことは非常に重い。多少はそれに影響されて、町としてもワインを用意して持参したということだ」と述べました。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。